歌う美容師——高木貴雄さん、なんで歌っているの?
生き残るためにはバイプレイヤーじゃないと
—1年半くらい続けていらっしゃいます。歌い続ける意味、何か見えてきましたか。
やっぱりその他大勢の美容師にはなりたくないんです。普通の美容師ではこの先の時代、生き残るのが厳しいのは見えています。もうひとつ、何かみんなと違うものを持っていないととも思うし、どうせ道を外れるならとことん外れたい。そうできるのが僕にとっては音楽だったと考えるようになりました。
—音楽が美容師として生き残る助けになると?
ヘアスタイル提案で違いを出していこうというのは、ずっと考えていました。そもそもうちのサロンを見ても鳥羽や赤松、内田がいます。その後輩として、VeLO/veticaっぽいねって言われるのがすごくいやだったんです。それってお店のブランディングであって、自分のブランディングではないじゃないですか。その歯がゆさを打破しつつある手応えが、ここ1、2年で徐々に感じられるようになってきて、次は何でより上に行こうかと思ったときに、音楽という形を見つけました。美容業界の中だけだったらヘアスタイルでおもしろみを感じてもらえるかもしれないですけれど、一般の人にその違いは伝わりにくい。音楽は美容師としての僕の、パーソナリティアップの手段になると感じています。
—歌そのものの、今後の展望はいかがですか?
本格的にバンドを組む予定でいます。もうメンバーも決まっていて、ロック・イン・ジャパン・フェスティバルのルーキー枠オーディションに応募しようという話も。やるならとことんやって、仕事にまでつなげたい。「おまえ、なにやってんの?」と言われるようなことでも、続けていれば花も咲くというのを証明できたらおもしろいじゃないですか。
- プロフィール
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vetica
ディレクター/高木 貴雄(たかぎ たかお)
1985年生まれ。兵庫県出身。NRB日本理容美容専門学校卒業後、大阪府内1店舗を経て、『VeLO』入社。現在、「vetica」ディレクター。お客さまのパーソナリティに合わせた、個性的なヘアスタイル提案を得意とする。
(取材・文/福田 真木子 写真/河合 信幸)