【睡眠サイエンス】ニューノーマル時代の新習慣!パフォーマンスを底上げする「眠りマネジメント」
健やかな体とパフォーマンスを保つために大切な3大要素は、「食事」「運動」「睡眠」ですが、この中で最も重要なのが「睡眠」です。もしあなたがサロン幹部や経営者なら、スタッフの睡眠マネジメントも必要かもしれません。なぜなら、睡眠と生産性は直結しているからです。長時間労働に慣れた日本人の平均睡眠時間は世界ワースト1位で、アメリカの研究機関によると、睡眠不足による日本の経済損失額は年間15兆円だそう。仕事で最高のパフォーマンスを発揮できるように、睡眠の重要性と快眠のための具体的なノウハウをご紹介します。
20代前半のスタッフは、できる限り眠らせることが大切
あなたは毎日、しっかり眠れていますか? 朝は気持ちよく起きているでしょうか。美容師という職業は労働時間も長く、睡眠時間が短くなりがちです。とくにアシスタントは緊張状態の中で日々タスクと練習をこなすわけですから、十分な睡眠がとれないと心身のリカバリーが難しくなっていきます。もし早朝練習をされているようでしたら、10代後半〜20代前半のスタッフは他の世代より負担が大きいかもしれません。というのも、この年齢層は朝型より夜型が強いことが科学的に証明されているとか!?
アメリカの2つの高校で始業時間を1時間遅らせる実験をしたところ、睡眠時間が約30分長くなったことで、生徒の成績が上がったそうです。これは、睡眠不足が解消されて脳機能が向上したから。そう考えると、美容業界でも、もし早朝の練習開始時間を遅らせることで、スタッフのポテンシャルをより引き出せる可能性があるとも考えられます。
睡眠不足が続くと、脳機能は著しく低下します。集中力が持たず仕事でミスをしやすくなったり、判断力や記憶力などが落ちてイライラしやすくなるのです。加えて睡眠不足は免疫力を低下させ、生活習慣病やうつ病、認知症などの発症リスクも上がります。さらに美容面でも、肌の不調や体重増加を招き、食欲増進ホルモンの分泌を増やして糖質や脂肪などを求めてしまう傾向に。イキイキと笑顔で働くためには、良質な睡眠は最重要課題なのです。
熟睡中に傷ついた細胞が修復され、脳は大掃除をしている
では、どれくらいの睡眠時間がベストなのでしょうか? かつて睡眠の適正時間は8時間と言われていましたが、それはもう過去の話。最適な睡眠時間は一人ひとりの体質によって異なり、年齢や季節によっても、その人に合う時間は変わってくるというのが最新の研究で分かっています。例えば「年齢」で見た場合、必要な睡眠時間の目安は10代が約8時間、20代は約7時間、そこから少しずつ減って60代は約6時間です。これは、加齢による生体リズムの変化のせい。「季節」で言うと、冬は日照時間の影響で体内時計が変わり、夏より長く眠ります。
「忙しくて4時間しか睡眠時間がとれない」とか、「しっかり寝ているのに何だか疲れが取れない」という人は、睡眠の“質”を限りなく上げることに注力してみましょう。そもそも睡眠の役割というのは、日中に疲れた肉体と脳を“休息”させることです。眠っている間、脳内で大掃除が始まります。深い眠りに入ることで脳脊髄液の流れが増え、その日に溜まった脳内の有害な老廃物が猛スピードで流されていくのです。そして最初の90分のノンレム睡眠の間に、体の細胞を修復する約8割の成長ホルモンが分泌されますから、この90分に邪魔が入らず、いかに深く眠れるかが勝負どころといっても過言ではないでしょう。
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