あのカリスマも失敗してきた!? 有名美容師に聞く、「美容師人生史上、“最恐”エピソードとその教訓」後編――SHACHU みやちさん・NORA広江さん
仲間が増えて「自分主体」から「サロンにとってのベスト」を考えるように
ルンバ事件をきっかけにスタッフを増やすようになって、僕自身の判断基準も変化しました。関わる人が増えていくと、自分だけのお店ではなくなるんですね。それまでは「自分主体」だったのが、「サロンにとってのベスト」「関わる人みんなにとってのベスト」を考えるようになっていきました。
例えば営業時間。最初は23:00まででしたが、今は21:00までにしています。僕だけであればどんなに遅くまで営業していてもいいのですが、それはスタッフみんなにとっていいことではないはず。「みんなが働きやすいのは?」と考え、変更しました。
僕自身の仕事内容も変化しています。セミナーやショー、取材や新店舗の展開と、やることの幅が増えていきました。どれもチャレンジングな仕事で楽しいですし、とてもありがたいです。一方で仕事の幅が広がればサロンワークに立てる時間は限られます。僕はサロンワークが大好きなので、もし自分の理想だけを追っていたら、中には取らなかった選択肢や得られなかったチャンスもあったかもしれません。
「サロン全体にとってのベスト」を考えることも、お店への真心だと思うんです。お店作りは効率化して簡単にできるような甘いものではないと、今は思います。でもだからこそ深いし、スタッフみんなと作っていくことで、より愛情を注ぐ存在になるんだと思います。
ときには力は抜いても、「気持ち」の部分は絶対抜かない!
24時間、常に100%の全力では疲れてしまいます。ただ仕事に忙殺されるのではなく、自分の思考時間を持つのも大切です。十分に休息する時間と、美容師としての技術を学んだり、トレンドや技術を調べたり、あるいは自分の外見やスタイルを磨いたりする時間を持つのは、美容師にとって欠かせないと思います。
だから、ときには適度にサボってもいいと思います。でも、お客さまやサロンへの愛情、真心、そういった気持ちの部分は絶対抜いてはいけません。
Instagramの投稿1つとってもそうですよね。「これでフォロワーが伸びる」と言われているセオリーだって、今はどんどん速く変化するから、自分で考えて変えていかないとすぐ時代遅れになります。あるいは、コメントをコピペしていたりしたら「あ、コピペだな」「気持ちこもってないな」とすぐに人に伝わってしまう。1つ1つ、自分で考えて真心込めて文章を変えていかないと意味がありません。
効率化と言えば聞こえがいいけれど、楽をすることばかり考えていたら、その場はよくても結果的にチャンスや信用は逃げていきます。最初からうまくいくことなんて、ありません。でも、何事にも愛と真心をしっかり持って接すれば、きっと周囲に伝わって素晴らしい結果につながると思います。お客さまや周りの仲間はそういう姿勢も求めているのでしょう!
プロフィール
SHACHU
CEO/トータルプロデューサー みやち のりよし
都内の有名サロンを経て、2014年4月、渋谷にSHACHUを設立。2016年12月には2店舗目であるSHACHU -SHIBUYA JINNAN-をオープンさせる。ユニコーンカラー発祥サロンでグラデーション・ハイライト・デザインカラーなどを用いたハイトーンカラーが圧倒的な支持を集めている。最近では全国セミナーやヘアショーなど海外からのオファーも多く、みやちが率いるSHACHUの勢いは止まるところを知らない。新しいデザイン、新しい美容師の生き方を提案する、若き美容師のあこがれの的。
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