あのカリスマも失敗してきた!? 有名美容師に聞く、「美容師人生史上、“最恐”エピソードとその教訓」後編――SHACHU みやちさん・NORA広江さん

 

憧れの先輩美容師はもとから完璧であるような気がしてしまうもの。しかし先輩たちも、たくさんの失敗をしてきています。大切なのは、失敗を失敗で終わらせないこと。そこで今回は、大人気のカリスマ美容師4人に、これまでの美容師人生で失敗したことと、その出来事をどのように乗り越えたのか、そこから学んだことを伺いました。驚き・秘蔵のエピソードが盛り沢山です!

 

後編ではSHACHU みやちよしのりさん、NORA 広江一也さんのエピソードをご紹介します。

 

>前編 ALUBUM NOBUさん、ⅲ 寺村優太さん

 


 

>少しでも楽をしたい…頼った機械で一騒動!? 「気持ち」の大切さを再確認したルンバ事件 ――SHACHU みやちのりよしさん

 

>大口を叩いたのに落ち続けたシャンプー試験…数々の失敗を笑い話にして乗り越えた!――NORA 広江一也さん

 

 

少しでも楽をしたい…頼った機械で一騒動!? 「気持ち」の大切さを再確認したルンバ事件 ――SHACHU みやちのりよしさん

 

 

オープン直後の多忙さに導入したルンバがトラブルに

 

SHACHUオープン当時は、僕とスタッフ1人の合計2人で、営業しながら、まだ整っていないお店作りを進めている状態でした。慣れない事務作業やサロンとして打ち出す作品撮り、オープンにあたりいただいた数々の取材、スタッフのレッスン。さらにサロンワークもかなり気合を入れて夜の23:00まで店を開けていて、休日なんてない多忙な毎日でした。

 

自分の好きなことのために動き回る時間はすごく楽しかったし、それだけ詰め込んだことも遅くまで働くことも全然構わなかったんです。でも、やはり1日が終わってお店を閉める頃には疲労していました。それから掃除して…となると、終電がなくなることもしばしば…。そこで、少しでも効率化して楽できないかと考え、「そうだ、ルンバを使おう!」と思ったんです。

 

ところが、営業後にルンバを作動させて帰ったある日のこと。深夜に動いているルンバにSECOMのセンサーが反応。強盗と勘違いされて、翌朝まで大騒動になってしまいました。

 

自宅で寝ていて何も知らず朝を迎えた僕でしたが、翌朝サロンに行くとSECOMとビル管理会社の方が。「考えればわかるでしょ、ちゃんとしてください!」なんて言われてしまって…少しでも楽をしようと機械に頼った甘さで多くの方に迷惑をかけてしまったと反省しました。

 

以降はどんなに疲れていても自ら床掃きや床磨きをするように。また、SECOMを作動するときは動いているものがないか確認しています。

 

「人を入れるって、売上以外にも大切」SHACHUのサロン教育につながる学び

 

この一件で機械頼みではうまくいかないと認識しましたが、かといって2人で当時の仕事全部を行うのは時間的にも物理的にも無理があります。けれど、やはりお店は自分たちにとってもお客さまにとっても綺麗で居心地のいい空間であってほしい…。そこで、早々に翌月からアシスタント1人を入れることにしました。タイミングよく「ここで働きたい!」と言ってくれる子がいたので、よかったです。

 

彼女が入ってくれてから、サロン全体がとても綺麗になりました。さらに、それまでは2人とも施術中だったりしてどうしてもお待たせしてしまっていた電話や受付も、素早く丁寧に対応できるように。僕も、今まで以上にお客さまに集中できるようになりました。

 

独立当初は売上の規模などから考えて2人だけでオープンしたんです。正直アシスタントを入れたときも、売上だけで見たらもう1人入れるのは大きな決断でした。だけど、ルンバ事件とその後の彼女の働きで、やっぱり「仲間が入るって、売上以外にも大切」だと考え方が変わりました。

 

その考えがあって、今でもSHACHUではスタイリストやアシスタントだけでなく、バックオフィスを担当する人を採用しています。それぞれの役割でそれぞれにお客さまとお店に真心を込めて動き、互いに客観的に見あえる状態は欠かせません。それがあって、すべてが行き届き、「気がついてなかった・うっかり忘れていた」が減るのではないかと思います。

 

一方で、スタッフ頼みで丸投げするのではなく、自分自身いつでも初心に戻ることも心がけています。シャンプーも掃除も電話対応も、時間や余裕があるときや、サロン全体の状態を見たときに自分がやったほうが早いときなど、できるときは今でも僕もやっていますよ。役割以前にお客さまへの真心と愛情があれば、自然と体が動くと思うんです。

 

スタッフからしても、「あの人の役割だから」と手が空いていても掃除などをやらないオーナーより、一緒に掃除したりシャンプーに立ったりしているオーナーのほうが、いいなって思えるんじゃないかな。その姿から、きっとお客さまやサロンへの想いも感じてもらえるのではないかと思っています。

 

お店の清掃など細かなところまでお客さまへの真心が込められているかは、ちゃんと伝わるものです。もしあのときアシスタントを入れずに2人で無茶でも続けていたら、お客さまは定着せず今のように愛されるサロンにはならなかったかもしれないと思います。

 

>仲間が増えて「自分主体」から「サロンにとってのベスト」を考えるように

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