ランニング×美容師の相乗効果とは!? 人気美容師たちが語る、「走ること」の魅力
人生を変えるような出会い。ROOTS の加藤さんが、トレランの魅力を語り尽くす!
―あなたが、走り始めたきっかけを教えてください。
好きだったスキューバダイビングや登山を快適に行うために、体を鍛える目的で走り始めました。もともと体を動かすのが大好きで、スキューバダイビングはシャークダイバー(サメを見る目的で潜るダイバー)として、 カリブ海、インド洋、大西洋など世界海域を潜ったり、登山では3000m級の日本名山を数々攻めたり、普段から運動をしていました。
登山ではテン泊(テント泊登山)をすることが多いのですが、いつも10kg以上の装備を背負って登るんです。そのときトレイルランをしている人を見かけて、「山を走るだなんて信じられない」と思う反面「いいなぁ~」という気持ちもあったんですよね。そこで半信半疑でトレランを始めることに。すると、これが意外とアスレチックのようで楽しい! 以前は平坦な都心部を走っていたのですが、今では大自然を満喫しています。ストレス発散と健康維持にも繋がるので、自然と続けるようになりました!
―普段、どのように走っていますか?
週3~4日のペースで、仕事前に 5~7km走っています。時間があるときは10km~20km。年末年始のジョギングは毎年少しずつ距離を伸ばしていて、2024年は正月太りを解消するために26km走りました。今月は最低でも100km走る予定です。
トレランは、各シーズンに最低一度は行っています。友人と走ることもあれば、ソロで行うことも。2023年は、毎年必ず訪れる涸沢カール(標高2300m/走行距離 約33km)をはじめ、六甲山(標高931m/走行距離 約12km)、阿蘇山上〜中岳(標高1506m)〜高岳(標高1592m)で約9kmのトレイルランなどをしてきました。今ではマラソンよりトレランが好きになってしまったので、普段のトレーニングとして走る場所も山が多いですね。陣馬山(標高855m)や、高尾山(標高599m/走行距離 約18km)、大山(標高1252m/走行距離 約10km)はmyトレーニングジムになっています。
―あなたが「なぜトレランを走るのか」について、教えてください。
山はスーパーアナログ世界で原始的! トレラン中は、とめどなく思考している状態ですが、日常や都会のバタバタから解き放たれます。自然のマイナスイオンを浴びながら、デジタルデトックスができて気分転換になるんです。
また、「トレラン=自分コントロール」だと思っています。走行中は天候、気温、時間、体力、山道との闘い。それでもしっかり景色を楽しみつつ、岩、鎖場、急登、崖、落ち葉などに注意し、「辛い」「苦しい」と思う気持ちと共存しながら山道を登ったり下ったりします。人間は大人になればなるほど、「辛い」「苦しい」ことは避けて、自分を甘やかして「楽」をするようになるものですが、私は脳をフル活用して、自分をコントロールできる人のほうが人生は何倍も楽しいのではないかと思います。だから私はプライベートでも仕事でも、より敏速に、力強く、柔軟でエネルギッシュな自分になろうと、走り続けているのだと思います。
知らない自分に出会うと人生は変わります! プライベートと仕事のどちらにおいても、自分に厳しくできる人って自分しかいないと思います。立場が上になればなるほど、誰も注意してくれませんよね。だから、私はいつも「自分がライバル」。年齢や性別に関係なく、チャレンジ精神を忘れずにあり続けたい!! 大げさかもしれませんが、仕事や人生に似ているのかなと感じます。人生の組立は難しくて長いけど、トレランは1日で完結します。みなさんもチャレンジしてみてはいかがですか?
―「走ること」と、美容師の仕事の共通点は何ですか?
「事前準備」が大切な点です。コンビニなど、便利な施設やモノがない大自然では、少しの準備不足が生死に関わるので、用意周到である必要があります。一方で、快適に走るためにはいかに荷物を軽くできるかが勝負です。そのためには、山道の環境や季節を考慮した装備を予測したり、余裕を持って準備の時間をとったり、先々を見通した行動力が必要だと思います。このような頭や体の使い方は仕事をする上でも同じことですよね。
他にも、トレランはお客さまとのトークの引き出すきっかけになります。自分がチャレンジしている話をすると、「自分も何かしよう」と相手もポジティブな思考になるんです。夢や希望がどんどん広がっていって、また再来時にはお互いの取り組んでいることを語り、エールを送り合う…とても良い流れです!! ポジティブな行動をしていると、お客さまは自然とファンになってくれます。
さらに、休みの日に活発に動くことで快適に仕事ができるようになります。仕事よりハードな休日を過ごすとサロンワークが “super easy”に! サロン内は空調が管理され、フロアも平坦でとても過ごしやすい場所。休日にダラダラしすぎると、どうしてもツケが回ってきます。
―「走ること」や「トレラン」に興味のある美容師のみなさんに、アドバイスをお願いします!
トレランは小さな一歩を積み重ねることで、高みまで辿り着くことができるスポーツ。「継続は力なり」という言葉があるように、一つひとつは小さなことでも続けることが良い結果を生み出すと思います。「走ること」は場所を問わず、誰でもすぐに始められますから、1kmでも2kmでも良いのです。自分で「やろう」と決めたら、言い訳や手抜きをしないで、続けてみてください。コツコツ努力することが、“自分磨き”の第一歩です。
そして、美容師なので、シューズやウェアなどのアイテムにこだわることももちろん大切! 今はいろんなブランドがあるので、お洒落で個性のあるモノばかりで楽しいと思います。ですが、何事にも優先順位がありますから、まずは自分の足の形や体にフィットする「走りやすい靴」「機能性の高いウェア」を選んでみてくださいね。楽しくラクに、何より安全に走行できるはず。そのあとに、デザインや靴とウェアとのバランスを見て選ぶといいと思います。
最後に何度も言っちゃいますが、大人になるとラクをしようとするばかりなので、ぜひ何か1つ新しいことを、自分自身にチャレンジさせてあげてください。新しい自分が見えてくるはず!
ROOTS
代表/加藤 孝子(かとう たかこ)
静岡県出身。高山美容専門学校を卒業後、都内3店舗を経て、2003年3月渋谷に『ROOTS』をオープンし、現在創業21年。2023年、神南エリアにリニューアルオープン。確かな技術と洞察力で、年齢・性別問わずお客さまの支持を得ている。また、メンズヘアの先駆者として、セミナー講師やショーでも活躍。その他、大手メーカーの商品開発協力や商品プロデュースも行う。近年では、女性モード社から単行本『+パーマで簡単補整 メンズヘアの7大お悩み解決BOOK 』を発売し、美容師育成教科書も出版。美容のミシュラン「カミカリスマ メンズスタイル部門」で4年連続受賞。
Instagram:@roots2003takakokato
<まとめ>
始めたきっかけはそれぞれ違っても、「走ること」の魅力にどっぷりハマってしまった人気美容師さんたち。美容師の仕事に通ずる点も多く、人生において大事なマインドも身につけられることなど、たくさん語っていただきました。みなさんも、今日から楽しく走りだしてみませんか?
(取材・文/リクエストQJ編集部)