「主夫を経て、また僕はカットが上手くなった」 “業界のイノベーター”エザキヨシタカが家事・育児をする理由

次回予約を徹底すれば、誰にも迷惑をかけずに時間をつくれる

 

 

子どもができたからという理由で、ほかの誰かに負担がかかったり、犠牲になってもらったりというのも違うと思います。僕の場合は、予定日がわかった時点で準備を進めてきました。次回予約を徹底することにしたんです。

 

今、多くの美容師さんは、予約サイトを使って空いている時間にどんどん予約を詰め込んでいると思います。そうすると、自分で自分の時間をコントロールしにくく、予約に振り回されるような状態になってしまう。仮に、家の都合で午後休みたいけれど、午後に2件の予約が入っていたのであきらめたとします。でも、その2件の予約は、その日のその時間じゃなくてもよかったのかもしれない。もし、予約を変更できたら、休むことができましたよね。これに似たような状況がたくさん起こっていると思います。

 

 

次回予約を取れば、美容師が主体的に時間をコントロールできます。主夫に専念する時間もつくれるわけです。次回予約をすることで、お客さまを万全の態勢で受け入れることもできます。たとえば、業界のVIPで少し気難しいお客さまと、下ネタが好きなお客さまが一緒の空間にいるのは好ましくないですよね(笑)。時間を調整することで、お客さまの時間の質を高めることにもつながるわけです。

 

美容師は忙しいときにお昼ご飯を食べられないってよく聞くけれど、次回予約などの工夫をして、時間をコントロールすれば、30分くらいの時間をつくるのは簡単です。美容師のタイムマネジメントについて業界全体で考えていかなくてはならないと、今回改めて感じました。

 

手伝いもしないくせに文句だけ言う男は許せない!

 

 

主夫をして痛感したのは、母親はめちゃくちゃ忙しいということです。幼稚園に入ったばかりの長女のために、朝早く起きてお弁当と朝ごはんをつくって、身支度を整えて、送り出して…そのあとは掃除、洗濯やらいろいろと仕事があるわけです。洗濯物も、素材や色によってわけたり、細かい仕事がたくさんあるんですよ。家のことをしているうちに時間がどんどん過ぎていって、お迎えの時間がやってくる。夕方からはまたご飯をつくったり、お風呂の準備をしたり、寝る支度をしたり…。食器洗いや風呂掃除もありますよね。

 

 

ようやく寝れると思っても、夜中に子どもが泣いたら起きてお世話をしなきゃいけない。これは大変ですよ。思わず、SNSで「家事ってマジでヤバイぞ!!男性諸君」ってつぶやいてしまったほど。一方で、世の中には家事や育児をパートナーに任せっぱなしで、文句だけいう男もいるわけじゃないですか。もうね、ありえないって思いますね。

 

育児活動中はエザキさんが料理も担当。

 

育児活動の経験のおかげで、また僕はカットが上手くなりました。これまでも綺麗な女性をつくってきましたけれど、家事や育児に主体的に取り組んだことで、より一層女性の日々の生活をリアルにイメージできるようになったからです。たとえば、朝大急ぎで自転車をこいで子どもを送り届けているお母さんの髪が、風で乱れたはずなのにめっちゃ綺麗だったらヤバくないですか。その人のストーリーを知ることで、綺麗にするためのアプローチが増えるので、カットもうまくなるんです。だから、上手くなりたい男性美容師は絶対に家事と育児をしたほうがいいですよ。

 

>家庭を犠牲にする人は、本当の意味での一流に到達できないと思う

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