40歳の節目に、前の職場で22年間培った価値観を手放した 断捨離人生 stair:case /中村 太輔さん
凡人が天才に近づくためにしていること
僕は天才に憧れる凡人です。僕が思う天才は、みんなで集まっている時に奇天烈なアイディアを出してくるような人のこと。20代のころ、自分もそれを目指していました。でも、どうしても自分は天才になれないと諦めたんですよね。
僕は奇を衒うことはできても、奇想天外なアイディアを出すことができません。僕がパッと思いつくのは普通のものばかり。だからこそ、自分のアイディアを捨てるようにしたんです。
僕が最初に思いつくアイディアはつまらないものが多いから、まずそれを却下します。2つ目、3つ目もまあみんな考えていそうなものが出てきます。ギリギリまで自分を追い詰めて、いいのか悪いのか判断がつかないようなアイディアが出てくるんですが、その中にようやくちょっと面白いものが含まれてくるのです。それがわかってから、すぐに思いつくような「凡人のアイディアの断捨離」を習慣化しました。
ちなみに、時枝は天才タイプで、突拍子もないアイディアを持っているんですよね。ちょっと不思議ちゃんタイプです。僕とは正反対なのでバランスが取れていると思います。
僕は前のサロンをやめて、丸裸になったことで変われるきっかけが生まれました。あえて自分を否定する習慣があったから、前の会社で培ってきたものを捨てることができたのです。捨てたものは、とても大切で、大きいものばかりでした。けれど、捨てたものが大きければ大きいほど、得るものも大きいのだと思います。
<プロフィール>
stair:case
中村 太輔 (なかむら だいすけ)
カラーリスト歴24年。ヘアカラー業界の先端を走り続けてきた、日本屈指のトップカラーリスト。カラー剤の開発や国内外でセミナーを行うほか、各コンペティションの審査員も長年勤めている。色彩を巧みに操る高度なテクニックとセンスで、国内外に熱烈なファンを抱える。十八番は、来店ごとに色を継ぎ足し、年月の経過とともに奥行きを与え続ける多色染め。白髪を隠すための染髪ではなく、白髪をデザインの一部として利用する”テクニカルグレイヘア”も、絶大な支持を集めている。