水のように生きていきたいから、東京から離れた 。美容師の『断捨離人生』−BEAUTRIUM/川畑 タケル−
美容師として、お客さんの断捨離を手伝ってきた
ただね、一番やりたいことをやることが大事なんだけど、ストレスも必要だとは思う。ファッションも音楽も、ストレスがないと生まれないものがあるのよ。ストレスを浴びていないと、産み出す気持ちがわいてこないですから。
俺と同年代で、ずっと楽に生きてきた人は、今になって困っていたりするわけ。しかるべきときに苦労していないと、あとで余計に苦労するかもしれない。人生は短いですから、やりたいことや、つくりたいことがあったら、時間を忘れて没頭した方がいいよね。
今はさ、いかに休んで、いかに自分の時間をつくるかってみんな言っているけど、それじゃあ苦労するよね。この程度でいいかって思ったら、それなりの人生になっちゃうと思う。これは若い子にぜひ伝えたい。国や政治、風潮に騙されるなよって。
ちなみに、お客さんの髪を切ることも、一種の断捨離だよね。モデルでも、役者でも大胆に変えるから、僕は。例えば、昔だれもが真似した「キムタクヘアー」の長髪は、あの時代ではありえない髪型だった。基本、男性アイドルは刈り上げだったし。でも、木村拓哉さんはあの髪型で時代をつくったよね。
他には、梨花さんの髪型も、木村佳乃さんや長澤まさみさんのショートもやりました。今ではね、みんな変わるために僕のところにきます。だから、よくよく考えてみると、髪を切ることでお客さんの断捨離を手伝っていたのかもしれないよね。
<プロフィール>
BEAUTRIUM/Artistic Director
川畑 タケル (かわばた たける)
1989年BEAUTRIUM(ビュートリアム)に所属。それまで画一的だった日本の美容界に革命を起こしたスライドカットを生み出し、現在ではArtistic Directorとして、美容界だけではなく、ファッションやカルチャーに関わる様々な方面に影響を与える存在。2008年3月に七里ガ浜にBEAUTRIUM七里ヶ浜店をオープン。2016年「BEAUTRIUM ACADEMY」開校。
(取材・文/外山武史 撮影/渡辺きるけ)