通勤電車の中が特設シアター! 映画や海外ドラマで良質なインプット -Sraw 柳 亜矢子さんの習慣 後編-
最近刺さった作品は『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』
最近、観て面白かったのが『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』という映画です。アンディ・ウォーホルはアメリカのポップアートの第一人者。1960年代のカルチャーに大きな影響を与えた人物です。『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』は、生前の日記が元になっています。
その日記は、自分で書くのではなく、毎日電話で話した内容だったらしいです。映画はその日記の内容を元にしたドキュメント映画で、トータルで6時間くらいあります。しかも、それをアンディ・ウォーホルの声をAIで再現しているんですよね。これがとにかく面白くて。
私は美容師になる前から絵を描くことが好きだったので、歴史を動かしたアーティストの作品にもすごく興味があります。休日に美術館をめぐるのも好きだし、アートや音楽の世界で輝く人たちから刺激をもらうことが人生で何度もありました。
そういう意味で、『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』には、アンディの明かされてなかったプライベートや彼の内情、作品の中に引き込まれました。時代をつくった天才も、同じ感情を持った人間なんだなと思ったし、時代背景も見えてきて多くの刺激や学びがありました。そうして心動かされた映画の感想をInstagramのハイライトでも紹介しています。
自分の好きなことで、なおかつ自分を高められる習慣をみつけよう
「好きこそ物の上手なれ」ってよく言いますけれど、私は子どもの頃から好きなことを自由にやらせてもらいながら成長してきました。だから、好きなことはとことんやるしたくさん知っているけれど、興味がないことはほとんど自分の中に入ってこなかった。それに、人にやらされているうちは何でも上達しないと思うのです。勉強しなきゃと思って映画を観ているわけじゃなくて、映画を観る時間が好きだから観ています。だからこそ、私は映画を通じて学ぶことがすごく自分に合っていると思っています。電車の中で本を読んでいると眠くなってしまいますし(笑)。
例えば1970年代の女性が人権を勝ち取るために戦った映画や、1960年代の人種差別の解決に向けた民権運動をテーマにした映画が、直接的にヘアスタイルに反映されるわけではないと思います。でも映画の中には、その時代やシチュエーションを表現するための音楽やファッション、ヘアスタイルもあるわけで、もしかしたらものづくりにつながることもあるかもしれない。映画を通じて刺激を受けた時代感や思想がクリエイションに滲み出ることもあるかもしれません。
私の場合は映画でしたけれど、人って自分の好きなことしか入ってこないし、続けられないと思うんですよね。他人にやらされるより、自分が本当にやりたいことをやったほうが身になります。だから自分の好きなことで、しかも、自分を高めていけるような習慣をつくることが大事だと思いますね。
- プロフィール
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Sraw
柳 亜矢子(やなぎあやこ)
神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業後、スタイリストとして経験を積みながらヘアメイクの技術を養う。broocHの立ち上げに参画。サロンワークだけではなく、ファッション誌などのヘアメイク、業界誌の撮影などでも存在感を発揮。クリエイティブコンテストの審査員も務める。2021年、代官山にSrawをオープン。
(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)
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