hodos山下純平さんの習慣 フレグランスをあやつり、お客さまの記憶に深く刻まれる美容師になる-後編-

「香り」の記憶は脳に深く刻み込まれる

 

 

人は見かけによらないとはいいますが、本当にその通りだと思います。目で見ることができるのは、表面的な部分だけ。「内面ではもう少し複雑なことを考えているんですよ」という感じを出したいときなどに、フレグランスが個性を引き出してくれます。

 

 

外国人の方で、強めに香らせている人がいるじゃないですか。香りに強烈なインパクトがあるから記憶に残る。例えば、日本人のかわいらしい女の子が、トゲが突き刺さるような香りをまとっていたら、それはもう忘れられないですよね。

 

もしくは、真面目でミニマムな感じの男性から、ワイルドな香りがしてきたらどう思いますか。その人が秘めている何かを感じますよね。フレグランスには、その人の秘めた想いがのっていたりする。ひそやかで素敵だなぁって思うんですよね。

 

日本人っぽい香りもあります。静かにムスクが薫る感じ…あとは線香のように落ち着く香り。これを少し混ぜると、和の感じがする。香りで日本を表現できてしまうなんてすごいですよね。

 

 

そんなこんなで次第に香水などのブランドの方とも親しくなって、今サロンの中にもたくさんフレグランスが並んでいます。僕はフレグランスをつけた瞬間、幸せになれるんですよ。

 

反対に僕は他人の生活の匂いを嗅ぐのが嫌で、電車を避けています。自分がいいなと思う香りをいつもまとって生きていきたいんですよね。

 

フレグランスといい音楽があれば、すぐに気分をアゲられる

 

 

フレグランスの儚いところも好きです。服や鞄、時計などと違って、フレグランスは消費されてなくなるものなので。香りをまとって生活している人しかわからない心地よさがたまらないんですよね。だからフレグランスをつけてもいい、美容師という仕事を選んでいるわけですし。

 

フレグランスは一気に自分の気分を高めてくれます。一日中、いい気分でいたいから、香りをマネジメントしているんですよ。めちゃくちゃ忙しい日は、体のあちこちに何種類かつけておく。手首や首はもちろん、お腹とかそれぞれ違うものをつけておくんです。

 

忙しいときはじわっと汗をかくじゃないですか。そんなときにお腹につけたフレグランスがふわっと香るとテンションが上がる。僕は基本的に仕事が好きだし、楽しんでいるんですけれど、忙しすぎて辛くなることもある。そんなとき、いい香りといい音楽があれば、すぐに気分をアゲられます。

 

 

それに、お客さまにとってヘアサロンって、何カ月に1度、オシャレをして行くところじゃないですか。そんな特別な場所で、僕の生活の匂いをさせたらダメだと思う。フレグランスは、その人の見た目よりも強烈な印象を残します。サロンの香りも同じです。きっとお客さまの記憶に、深く刻まれていると思います。

 

 

 

hodos代表

山下純平 Junpei Yamashita

千葉県出身。専修大学および日本美容専門学校卒業。都内1店舗を経てNanukで店長、ディレクターとして活躍。2020年に独立し、hodosを立ち上げる。卓越したヘアデザインのセンスの持ち主。ファッション、フレグランス、ミュージック、フラワーなどにも精通。原宿・表参道界隈の美容師にも一目置かれる存在。

 

(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)

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