最高のサロンワークは、最高の準備からつくられる -grico エザキヨシタカさんの習慣 前編-
言葉を交わすよりも、握手をしたほうが伝わることもある
また、僕はスタッフのみんなと挨拶するだけじゃなくて握手をしています。握手の習慣を始める前はなんか宗教っぽく感じて、あんまり乗り気じゃなかったんですけれど、実際にやってみるとスタッフの心の状態がめちゃくちゃよくわかります。
例えばコロナ禍でちょっとナーバスになっている子の場合だと、握手した時に「あ、これはなんか危ないかも…」と直感することも。ちょっと握手が引き気味だったり、力が弱かったり、何かに悩んでいるときのシグナルが出ているんですよね。握手で異変に気づいたときは、その子と個別に話をすることもあります。
みんなでエプロンをつけるのももはや習慣です。3、4年前、パリのメルシーというところにセレクトショップがあって、店員さんがエプロンをつけているのを見ていいなと感じたのがきっかけ。このエプロンは白いので動きや技術に無駄があると汚れるんですよ。汚れる原因はカラー剤が飛んでいるとかそういう理由。アシスタントの子を見ていても、やっぱり成長した子のほうが汚す回数が少ないですね。結局、営業が終わるころには汚れてしまうんですけど。
白いエプロンなのでそれを綺麗に洗濯して、アイロンをかけてまた使うようにしています。その過程を大切にできる子って店長になったりとか、人の上に立てる人になれると思うんです。そういう意味でエプロンをつかうのは、一緒に働く人のことを考えるきっかけにもなっているんですよ。モノを大切にする感覚も身につくだろうなって思っています。
- プロフィール
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grico http://grico-h.com/
エザキヨシタカ
2009年原宿に「grico」をオープン。美容業界を代表するトレンドセッターとして美容師の新たな在り方に対して常にアプローチを仕掛け、アパレル業、商品開発、コンサルティングなど多方面で活躍。オンラインサロン「マルチバース」「JAPAN7」にて業界の活性化に注力している。著書『夢を叶えるエザキ流方程式』『選ばれる条件』で多くのメディア・美容業界内外から注目されている。