カメラをぶらさげて海外に出ると、美容師としてやるべきことが見えてくる -VeLO/vetica赤松美和さんの習慣 後編-
クスコの民族衣装はふくよかな女性によく似合う
世の中では、おもしろいことがいっぱい起こっていると思うんですよ。カメラを持って原宿を歩けば何かしら見つかるはずなんですが、仕事とまったく関係のない場所で、旅行に100%集中したいから、毎年10日間の夏休みは海外に行っています。
好きな街はパリで、「住むなら絶対にパリ!」って思っています。若いころはロンドンが好きでした。音楽やファッションなどのカルチャー的にもロンドンが好きでしたしね。今年の夏、久々に大人の目線でロンドンにいったら、それはそれでおもしろかった。若いころと自分の目線が明らかに変わっていて、ロンドンのおじいちゃんやおばあちゃんを撮っていましたね。なかにはパンクなおじいちゃんがいたりするんですよ。パリには絶対にいないだろうなっていう。
社員旅行で行ったマチュピチュ遺跡で有名なペルーのクスコも印象的でしたね。インカ帝国の血を引く人たちが住んでいて、女の人の髪は三つ編みで山高帽みたいな帽子をかぶり、民族衣装を着ています。この民族衣装は、ふくよかな人のほうが似合うんですよ。
コンプレックスをチャームポイントに変える美容師になりたい
クスコの女性はふくよかさがチャーミングポイントになっています。日本だと痩せたいとかエラを隠したいとか、悪いところを直したがる傾向があると思うんですが、私はエラが張っているなら、それを魅力的に見せるヘアスタイルをつくりたいんです。コンプレックスをなくすんじゃなくて、「その個性が魅力的なんだよ」って感じてほしい。
みんな同じようにスタイリッシュになっても、世の中多分つまらないと思うんですよね。個性を大切する自己肯定から、オシャレは始まるんです。私は海外で個性を大切にしている人たちを見て、とっても魅力的だと思いました。だからこそ、私は自分のお客さまの個性と魅力を引き出していきたいと思っています。
美容師って中途半端では許されない仕事です。なぜなら、髪を切るのはすごく神聖なことだから。体の一部を切っているのと同じです。だからこそ私は、毎日ときめきをストイックに探しているし、お客さまをハッピーにするための力を養っているんですよ。
- プロフィール
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VeLO/veticaディレクター
赤松美和(あかまつみわ)
茨城県出身、都内私立大学を卒業後、美容師の道へ。美容業界のことを知らぬまま直感を信じて、植村隆博氏、鳥羽直泰氏らが立ち上げたばかりのDADAに入社。その後都内1店舗を経て、鳥羽氏と共にVeLO/veticaをオープン。サロンワークを中心に、業界誌・広告等の撮影やヘアショー、セミナーなど幅広く活躍している。
(文/外山武史・撮影/菊池麻美)
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