美容師歴40年の中で培われた心と体を整える“何気ない”習慣 -HEAVENS 小松 敦さんの習慣 前編-
各種メディアや広告におけるヘアデザインや国内外でのヘアショー、ヘア作品の撮影スキルセミナーなどマルチに活躍しているHEAVENS の代表、小松敦(こまつあつし)さん。さまざまなコンテストで審査員を依頼される審美眼は、多く美容師の知るところです。今回は、約40年間、美容師を続けてきた小松さんが、ご自身の心と体を整えるためにしている習慣を教えていただきました。インタビューは前編・後編の2回、まずは前編からどうぞ!
美容師にもウォーミングアップが必要だ
人間のメンタルは揺らぐものだから、「パフォーマンスの波をなくすための習慣」を持つことが大切だと思います。アスリートが試合の前に、念入りにストレッチをして、心と体を整えるのと同じように、美容師にも準備の時間が必要です。僕は美容師になってから40年になりますが、その中で自然に固まってきた仕事前の準備をしないと、気持ちが悪いんですよ。
僕がサロンにきてまずするのは、シザーの手入れです。ラックに積んだ写真集やアートブックを眺めながら、セーム革で刃を拭いていきます。セニングシザーは刃の形状が複雑なので、少し時間をかけてていねいにやる。手を動かしているうちに、徐々に仕事のスイッチが入るんです。1日の流れや予定をイメージしながら、シザーの手入れを仕上げます。
そのあとは、カメラの手入れですね。僕個人はLeicaが好きですが、嗜好品のようなものだから、サロンにはスタッフが使い慣れているNikonのカメラを置いています。撮影する予定がなくても、レンズを綺麗にしたり、カメラの設定が正しい状態にあるか確かめたりすることが日課です。テスト撮影の意味で、サロンの外を歩く人を撮らせてもらうことも。サロンの向かいの壁が昭和な感じだから、なかなか味のある写真が撮れるんですよ。
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