美容師として高みを目指すため「あえての電車通勤」 -ANNE. 澤野秀樹さんの習慣 前編-
いつか肉体が衰える前に、今登っている山をできるだけ高くしたい
僕は美容師としてもっと上手くなりたいと考えていますが、一方で年齢的な肉体の衰えによる技術の劣化はいつか必ずやってくることも知っています。これは人間だから避けられないこと。僕が今歩いている登り坂も、いつかは下り坂に変わっていくでしょう。だからこそ、今の登っている山をできるだけ高くしたい。どうせ下るなら、高い山から下ったほうがいいと思っています。
上手い美容師とはどういう人か。人によって捉え方が違うし、答えは一つではないと思います。一つの目安として僕が思うのは、3カ月に1回くるお客さまが、3カ月後も素敵なままサロンにくることができるというのは、上手い美容師の技だと思います。僕の師匠、八木岡聡さんがまさにそれでした。
3か月後も素敵でいられるというのは、いわゆる持ちがいいというのとは違います。髪が伸びた状態のヘアも素敵だし、3カ月間、お客さまが毎日素敵でいられるヘアをつくるということです。髪はお客さまのものだから、お客さまの日常の変化をイメージできるかどうかが大切。既婚の男性美容師なら、自分の奥さんの髪を見れば変化を見ることができますが、それだけでは圧倒的に量が足りないですね。でも、電車に乗っていれば、たくさんの女性の日常のヘアを知ることができます。毎日続ければそれは膨大な数になります。だから僕は今日も、電車でサロンに向かうのです。
- プロフィール
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ANNE. https://www.anne-hairdesign.com/
代表/澤野 秀樹(さわのひでき)
1974年生まれ。熊本県出身。九州美容専門学校卒業。1店舗を経て、1997年『DaB』入社。同サロンのクリエイティブディレクターを務めた。2018年11月に独立し、中目黒に「ANNE.」を出店。現在に至る。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)