こだわりの詰まったBGMで、サロンの空気に色をつける -THE REMMY 上田竜二さんの習慣 後編-
音楽は言葉を超えるコミュニケーションツール
僕の師匠にあたるDouble/HEARTSの山下さんは、「いい音楽を聴いて耳を鍛えることで、物事を見る目も養われる」というニュアンスのことを言っていました。僕はその領域には達していないですが、スタッフにいい音楽に触れてほしいという想いは同じです。
いい音楽を聴くことで、いいデザインができるようになるかというと、そんなに単純な話ではないかもしれません。でも、音楽を通じてファッションやその曲が流行った時代背景など興味を広げると、さまざまな情報が自分の中に入ってくるのです。
同じサロンで働いていると、だんだんと僕に影響されてスタッフの音楽の好みも僕に似てきたりします。そうすると、不思議と音楽以外の話でも通じ合えるようになるものなんです。たとえば、僕が作品でつくりたい世界観などの話をしたときの、理解のスピードが速くなったりする。音楽が言語を超えたコミュニケーションツールみたいなものになっているんじゃないかと思うことがあります。
自分が好きな音楽をスタッフに強制することはありませんが、あまりに好みがバラバラだとまずい気がします。表参道や原宿界隈にはセンスのいいサロンがたくさんありますから、コンセプトがブレているサロンは、生き残れないのではないでしょうか。だからこそ、美容はもちろん、音楽やファッションなど美容師の空気をつくるものは、できるだけスタッフを自分たちに寄せていきたいと考えています。