「物語からデザインする」就寝前の読書で想像力を養う -THE REMMY 上田竜二さんの習慣 前編-
読書の習慣があるから、人生に影響を与える言葉と出会えた
本を読むことが好きだからこそ、自分の人生に影響を与える言葉に出会うこともあります。
「稽古は強かれ、情識はなかれ」
これは猿楽師の世阿弥が遺した言葉です。稽古には徹底して強くあるべきです。一方で、時代は移り変わるものだから、慢心のための強情・頑固があってはならないと説いています。美容師は技術の研鑽は不可欠であり、時代の変化にも敏感であるべきで、これこそ胸にとめておきたい言葉であると感じました。
この言葉に触れることになったきっかけは、居酒屋でお酒を飲んでいたときに、商社マンに声をかけられたこと。その方はこんな話をしてくれました。
「原宿や青山のようなライバルが多い場所で力を試すことは正しい。君のような職人のような仕事をする人には、ぜひ世阿弥という人の『風姿花伝』という本に触れてほしい」
その後、僕は世阿弥の本を読んで、大切な言葉に出会うことができたというわけです。もし僕に活字を読む習慣がなければ、きっと出会うことができなかったと思います。本を開かなければ、新しい物語は始まらないのです。
- プロフィール
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THE REMMY
代表/上田竜二(うえだりゅうじ)
福岡県出身。福岡美容専門学校卒。Double/HEARTSに17年間所属。Japan Hairdressing Award 2012ライジングスター最優秀賞など受賞歴多数。2015年に独立し、イセキリエさんとともにTHE REMMYを立ち上げた。現在はサロンワークをはじめ、スタッフ教育や撮影、セミナーなど幅広く活動している。
http://www.the-remmy.tokyo
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)