1894年創業の老舗ヘアーサロンKINOSHITA GAIEN EAST STREETの五代目をつとめる木下裕章（きのした ひろあき）さん。年間80回を超える全国での講演活動や、国内主要ヘアーコンテスト審査員など、美容の有識者として業界から一目置かれている存在です。今回は美容師からの支持される木下さんの習慣に迫ります。インタビューは前編・後編の２本立て。まずは前編からご覧ください。

有名出版社の少女コミック編集部でのインターンで学んだこと

高校のころから僕は、同年代といる時間よりも、大人と過ごす時間のほうが好きでした。学校からの推薦で、有名出版社でインターンをさせてもらっていたのですが、そこで働く大人たちの様子は、今も僕の記憶に残っています。

編集部員たちは、山積みになった書類に囲まれて、24時間臨戦態勢。パソコンのない時代でしたから、仕事は全部手作業。僕は写植といって、印字する仕事を手伝っていました。担当していたのは少女コミックです。

出版社の経験を通じて、編集の現場の厳しさや、仕事と向き合う姿勢を見て学ぶことができました。「大人でもこんなによく怒るんだ」とか「よくコーヒーをこぼすし、大人もそそっかしいんだな」というように、人間らしい側面を見ることもできましたし、なにより、「大人から学ぶ習慣」ができたことは大きかったと思いますね。高校時代に大人からたくさん学ばせてもらったことで少し大人に近づけたのかな、と思います。

>教える立場の人間は、誰よりも学ばなければならない