フェリーに揺られて島旅へ、夫婦でどっぷり釣りを楽しむ -RUALA 角 薫さんの習慣 前編-
カリスマブームの火付け役となったブランドサロンで18年間、看板スタイリストとして活躍し、店長などの要職も長年経験してきた角薫(すみかおる)さん。業界誌・一般紙掲載の常連であり、セミナーの登壇機会も多く、さらに人望が厚い彼女は、女性スタイリストの憧れの存在です。
美容師になってから20年以上、止まることなく走り続けてきた角さんですが、ここ数年はこれまでと大きく働き方を変え、新しい習慣もはじめたそうです。インタビューは前編・後編の2回、今回は前編です。
私的働き方改革のきっかけになった半年間のフリーランス生活
RUALAを立ち上げるまでの半年間、どこのサロンにも属さないフリーの状態で、知り合いの美容室の一部を借りて働きながら、開店の準備をしていました。その間はアシスタントがいないため、シャンプーから何から一人でやらなくてはならず、1日8人くらい入客するのがやっと。ブランドサロンで働いていたころは、1日に20人くらいのお客さまに施術することもあったので、かなりの変化です。さらに、週3日とか4日くらいしか場所を借りられず、遅い時間に予約を入れることができなかったので、図らずもお休みや自分の時間が増えたんですよ。
20代のころの私は、休日に仕事が入ることを誇らしく感じていました。美容師としてみなさんに求められているような気がしていたからです。それが一時的にフリーランスになり、責任から解放され、仕事量もセーブされて、ふっと心が軽くなり、体が喜んでいるような感じがしました。以前はサロンのブランドを背負って、プレッシャーを感じながら働いていたから、肩の荷が下りたのだと思います。
自分が休むことでお客さまに迷惑をかけたくないと思っていたのですが、むしろお客さまは、「よかった。角さんもお休みをとれるようになったのね」と好意的に受け止めてくださいました。その一言で、私が働き方や、働く環境が変わっても、お客さまはついてきてくださることに気づいたんです。
「みんなもこんな働き方ができるんだよ!」と見せてあげたい
RUALAがスタートしてからも、週に3日くらいお休みをいただいています。私と共同代表のちはるが土日にサロンに出ると、セット面が足りなくなってしまうこともあるので、あえて土日のどちらかは休むようにしているんですよ。スタッフもきっと、私がずっとサロンにいるよりも、いないときもあったほうが羽を伸ばせるのかな、と思っています。
昔は休まずに走り続けることがカッコいいというか、意地でも休まない精神みたいなものもありました。だけど、今は仕事もプライベートも輝いている人が素敵に見られる時代。「みんなも将来的にはこんな働き方ができるんだよ」というところを見せたいと思っています。
土日休みの夫と休みが合うようになったのも大きな変化です。ここ最近、土日のどちらかが休みのときは、竹芝桟橋からフェリーに乗って、海がきれいでウミガメが見られる三宅島や、ダイビングスポットとして人気の神津島などで過ごしています。夜に港を出て、フェリーのなかで睡眠をとって、朝目覚めたら島に到着。海の向こうから登ってくる朝日を眺めるところから、島での一日が始まります。島が好きになったのは、やっぱり日常と全く違う時間が流れているから。自然の中で風にあたるだけでも気持ちがいいんです。
- 1 2