僕の作品には、映画の世界観が滲んでいる -Rougy 上原 健一さんの習慣 前編-
作品のなかに滲む「けだるさ」のルーツ
昔はフランス映画のよさがわからなくて、1本のフランス映画を観るのに、3日も4日もかけていました。途中で眠たくなっちゃって、一気に最後まで観られなかったんです(笑)。でも、何回が観ているうちに、フランス映画独特のシュールでオシャレな感じが好きになりました。
90年代になると、『ポンヌフの恋人』とか『グランブルー』のように、ストーリー性のあるフランス映画も出てきました。大作系を上映している大型映画館ではやっていないから、渋谷界隈のミニシアターまで行っていましたね。
たくさんの映画作品に触れてきたから、僕の作品にもイギリスやフランスの映画の影響が、どことなくにじみ出ていると思います。僕の作品は、明るく陽気な雰囲気というよりは、どちらかというとシックなモノトーンで、「けだるさのようなもの」が漂っていると思います。たとえるなら、ロンドンのような曇天が広がり、寒い風が流れているというか、そんな空気感。実際に作品を観てもらえば、感じていただけるんじゃないでしょうか。
もちろん、映画だけじゃなく、音楽とかファッション、カルチャーなどの影響もあるけれど、映画はそれらすべてが詰まった総合芸術。インパクトも大きいですよね。