近所の草花を”野にあるままに”生ける -SIDE BURN 太市さんの習慣 前編-

「花は野にあるように」はサロンワークにも通じる思想

 

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かつて僕はクリエイティブなヘアスタイルをつくるのが得意でした。コンテストで賞を獲るためにやっていたつもりはないけれど、「これってある種の自己満足なんじゃないか」と感じたんです。やがて装飾的なヘアをつくることよりも、お客さまの個性を引き出せるサロンワークのほうがカッコいいことに気がついた。そのことを伝えたくて、お客さまの個性を引き出して、輝かせるポートレート作品集『カミハトモダチ』を始めました。

 

花は咲きたいように咲くのがもっとも美しい。人は「なりたい自分」になったときに輝きます。「モテたい」でもいいし「仕事ができるように見られたい」でもいい。その「なりたい自分」をデザインに落とし込むのがサロンワークです。生け花と、根っこの部分は同じなんですよ。ただし、お客さまが相手なら、どういう風になりたいのか聞くことができるけど、花はなんにもしゃべられないから生け花はサロンワークよりも難しいですね。

 

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「この花はどうなったら幸せなのかな」と、毎朝、真剣に心を傾けています。雑念があったら花を生けることなんてできない。だから僕は花を生けながら心を整えているんです。武道の前に精神統一するのと同じですね。

 

プロフィール
SIDE BURN
太市(たいち)

1962年生まれ。福島県出身。会津理容美容専門学校卒業。都内有名店を経て表参道にSide Burn 設立。1998年、JHA グランプリ、ロンドン審査員賞ダブル受賞。美容師、詩人、エッセイスト、写真家、ミュージシャン、映画制作、花人など七色の輝きを放つマルチアーティスト。

http://www.sideburndeluxe.com/index.html

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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