飛躍につながった意識「作品に自分の足跡を残さない」 -gem 森川丈二さんの習慣 後編-

写真7

 

JHA(ジャパン・ヘアドレッシング・アワード)の最年少グランプリ受賞のほか、最優秀ロンドン賞2回・準グランプリ2回など数々の受賞暦を持つ森川丈二さん。その卓越したクリエイティブの源泉を探るべく、大切にしている習慣を尋ねてみました。作品へのこだわりは人並み以上なのに、イマイチ評価されていないと感じている美容師さん必見です。インタビューは前後編の2回。今回は後編です。

 


 

技術をあえて隠したほうがいい理由

 

僕がJHAのグランプリを授かる少し前の話です。尊敬する恩師からこんなことを言われました。

 

「丈二が上手いのはわかるよ。でもそれを隠しなさい」

 

技術者というのは、自分の苦労したところ、こだわったところを無意識に見せてしまうもの。アングルや色使い、シルエットなど、どこかに作者の足跡のように自意識が見え隠れしてしまいます。


正直に言えば、そのころはまだ、なぜこだわりを隠さなければならないのか、なぜ足跡を消さなければならないのか、本当の意味で理解していなかったと思います。でも、少しずつ恩師の言っていることの意味が見えてきました。

 

写真8

 

ある夏、僕はハワイのビーチでファッション撮影のヘアメークをしていました。波打ち際でポーズをしているモデルさんに手を入れるとき、僕は写真に自分の足跡が入らないように、ずいぶんと遠回りして海へ入り、モデルさんの背後にまわって直していました。モデルさんの後ろ側に足跡が残ってしまいますが、波が消してくれます。

 

読者が写真を見たとき、僕の足跡が残っていたらその世界観に入り込めないと思います。足跡を消すのはこのため。これと同じで、ヘアスタイルを作るプロセスを残すのは興ざめなこと。お客さまが本当の意味で髪型を楽しむために不要です。


 

>「どっちから撮りますか?」と尋ねられたら

 

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング