今すぐに、ここではないどこかへ旅に出るべき理由 -SORA 北原義紀さんの習慣 後編-
有名店SORAオーナーであり気鋭のスタイリスト、さらには「ハサミノチカラ」プロジェクトを通じて理美容の仕事のすばらしさを広める啓発活動までおこなう、北原義紀さん。「キタハラヨシノリプロジェクト」の名前の通り、もはや美容の枠組みにはおさまらない、唯一無二の存在です。今回はそんな多才の人の習慣に迫ります。インタビューは前後編の2回。今回は後編です。
旅に出るのは、早ければ早いほどいい
「いつか旅行に行きたい」と考えている人は、行けるなら今すぐ行ったほうがいいと思います。「仕事が落ち着いてから」とか、「頑張ったご褒美で」とか考える人も多いですが、もったいない。なぜなら、今旅に出れば、そこで見て感じて学んだことが、その後の人生に生きるからです。仮に、人生の最後に旅に出たとしても、どこかに行ったという事実しか残りません。
行き先はどこでもかまわないと思います。大切なのは、今いる場所から離れること。そうすることで、自分を客観視できるようになり、気づきをえられるのです。外国にいくことで日本人のアイデンティティを感じるとか、自己確認の効果があるんですよ。
たとえば僕は、フィリピンの貧困地域の児童養護施設に行き、ボランティアカットをしました。子供たちを勇気づける何かを与えるつもりで行ったのに、与えられるもののほうがはるかに多かった。子供たちの眩しい笑顔を見て、美容師の仕事の原点、感謝される喜びを実感しました。
そこから、「ハサミノチカラ」というプロジェクトを立ち上げて、今では100人以上の美容師さんがフィリピンに渡っています。しかし、ただ髪を切って喜んでもらうだけでは、子供たちが貧困から抜け出す根本的な解決にはならない。だから今はアカデミーをつくり、カットを教えて自立支援するという目標を掲げています。
海外ボランティアを展開する、NPO法人アクションの横田さんに、「僕に何かできることはありますか?」とたずね、すぐにフィリピンに渡ったことから、影響の輪が広がりはじめたのです。