アクセルを踏み込む前に、勝負は大方ついている -Double 山下浩二さんの習慣 前編-
バトル中はアドレナリンがドバドバ出る
カートをやっていると、本当にいろんな人と出会います。弁護士、警察官、税務官、公務員、お医者さん、あとは、稀にちょっと怖い人も(笑)。カートの上でのバトルの後に「ヤマちゃん(山下さんがレース仲間につけられたあだ名)はすぐに譲ってくれてホンマにええ人やなぁ」とかなんとか嫌味たっぷりに言われて、カチンとくることもありますね。僕は普段はサロンの代表ですから、人から怒られたり、挑発されたりすることが滅多にありません。だから、レース中はアドレナリンがドバドバ出ています(笑)。
カートレースでは、いい人は勝てないので、自分の手の内を明かすことは滅多にありません。でも、美容業界は違いますよね。僕も、自分の手の内をどんどんほかの美容師さんに教えてしまっていますから。なんでそんなに情報をオープンにしているのかというと、美容師のレベルを上げていきたいからです。美容師さんが、自分を安売りしたり、集客サイトに頼ったりしてばかりでは、さみしいですから。
レースで例えるなら、小細工したエンジンで勝ってもうれしくないじゃないですか。やっぱり、自分のセッティングとドライブテクで勝つことに意味があります。美容師も他力に頼らないで、自分の腕で集客できるのが理想ですよね。そのためには、練習とお客さまの情報や、道具や薬剤の知識などのデータを集めることが大切。これもレースと同じですよね。そこをマジメにやらないと、先頭には立てないということです。
- プロフィール
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Double
代表/山下 浩二
鹿児島県出身。1994年、原宿に『HEARTS』をオープン。2001年からは表参道に『Double』を構え『HEARTS』『Double』の2ブランドで美容活動を展開。独自のデザイン・カットテクニックで「本物」のスタイルを表現。業界誌はもちろん、美容師からの信頼も厚くセミナーやヘアショーで活躍。自身の著書『山下浩二のたねあかし』をバイブルとしている美容師もいる。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
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