どちらかが死ぬまで“一生”担当させていただきます -ACQUA 綾小路竹千代さんの習慣 Vol.2-
「これが最後だから」とASIA BEAUTY EXPOに家族を招きました
僕にとって一番大事なのはお客さまなので、ここ最近はメディアの露出やヘアショーのステージに立つことを控えていましたが、2015年2月の「ASIA BEAUTY EXPO」では、「多分、これが最後だから」と家族を招きました。
そのステージで僕が何をしたか。サロンでやっていることと全く同じです。3カ月髪を切らないでくださった白髪のお客さまの髪を、ステージの上で、サロンにいるときと同じように切りました。
ステージ中は、音楽を流さず、美容業界の後輩のみなさんへのメッセージを、僕が話しているだけ。あとは「チョキ、チョキ…」とハサミを動かす音しかしませんでした。
ステージの終わりには、美空ひばりさんの『川の流れのように』を流して、アシスタント全員を舞台にあげました。サロンっていうのは人間味のある演歌のようなものだと思うし、僕がお客さまの髪を切ることができるのは、受付やシャンプーマン、アシスタントがいるおかげです。
そして、なぜ「最後のステージ」と言ったのかいうと、あれが究極の姿だと僕は思うからです。10年後ステージに出たとしても、同じことしかできませんし、多分、同じことしか言いません。美容師のステージというのは、本来、サロンの中にあるんです。僕はそれを表現したかった。
だから美容師のみなさんに聞きたいです。
「サロンという特別なステージで、あなたは輝いていますか?」と。
Vol.3へ続く【2015.04.08UP】
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- プロフィール
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ACQUA会長
綾小路竹千代(あやのこうじ たけちよ)
1962年京都西陣生まれ。16歳から美容師を始め23歳で上京。1994年に野沢道生氏、青山正幸氏と「ACQUA」を設立。1997年に日本武道館でのライブショーを仕掛けるなど、美容業界の地位向上に尽力。2012年には、京都の町家を改装し、美容室、レストラン、家具、雑貨の複合店舗「□△○」(as itis)を開業した。
(取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
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