七里ヶ浜でお酒を片手に…川畑タケル×エザキヨシタカの美容放談<前編>
サロンが生み出すリアルのコミュニケーションに価値がある(エザキ)
エザキ:七里ヶ浜のBEAUTRIUMも素敵ですけど、福岡店の雰囲気も好きですね。イベントを開催して、人を集めて、サロンの中でカレーをふるまったりしていて。いいなーって。
川畑:あそこは、パーティーが多いんですよ。ミュージシャンを呼んで、福岡にはおいしいカレー屋さんがたくさんあるからお招きして、サロンで作ってもらって。
エザキ:そういうリアルのコミュニケーションがいいですよね。僕はSNSが嫌いな人間なので。
川畑:僕がよくわからないのはInstagramによくある、頭を後ろ斜め45度から撮った写真ばかり上げている人たちだね。ずらっと同じアングルの写真が並んでいるだけだから、見てて面白いのかなって思っちゃう。本当にかわいくなっているのなら正面から写せばいいのに。
エザキ:僕は最近、娘の写真とか、自分にとって気持ちがいいと感じたこととか、もしくは、自分と関わりのある人たちが幸せになるような発信をしています。ヘアスタイルを載せているわけじゃないけれど、それでも新規のお客さまがたくさんきますから。お客さんからの紹介もたくさんありますし。
川畑:それでいいんだよ。SNSで新規集客しなくても、カットがよかったり、雰囲気がよかったり、その人と話していいなって思えばまたくる。やがて、その人の友達もくるの。でもみんながやっているのって単発なの。だから、集客サイトかなんかを見て、安さだけが目当ての人がきちゃう。
エザキ:そうですね。あと、値段は高くても、前のサロンで変えてもらえなかったからくるお客さんも多いんですよね。「変われる」とか「気持ちがいい」とか、そういう価値がサロンや美容師にあれば、値段を下げなくてもいいはずなんですよ。
隣の芝生は、実際はそんなに青くない(エザキ)
エザキ:最近、スタッフにもよく言っているんですけれど、隣の芝生を青く見せるような仕組みがたくさんあるんじゃないですか。SNSとか代表的だと思いますけど。でも、実際はそんなに青くないんですよ。自分のサロンも素敵だと思っているし。よくね、有名な美容師になりたいっていう人がいますけれど、有名にならなくても美容師って素晴らしい職業なんですよ。
みんなもっと人が集まるサロンという場所の魅力を考えたほうがいいと思います。たとえば、ウチは最近、洋服を扱うようになったんですけど、1週間で100万円の利益があがりました。もちろん、カットが上手いし、信頼されているから買ってもらえるっていう理由もあるんだけど、美容師にはそれだけの影響力があるってことです。サロンは社交場だから、もっともっと気持ちいい空間を目指したい。ビュートリアムの七里ヶ浜には、それがあると思いました。
美容業界にも、結構いろいろと面倒くさい建前とかありますよ。でも、そういうの抜きで、もっと気持ちいい業界でいいのかなって僕は思っています。たとえば、gricoには4世代できてくださるお客さまがいます。80代のおばあちゃんから2歳のひ孫さんまできてくれて。サロンにきたことで人生が豊かになったり、幸せになったりとか、そういう場所を目指していきたいなと。そして、美容師っていう職業をしっかりやろうよと。そうすれば、もっと一つひとつのサロンが豊かになるのにってすごく思うんですよ。
中国のセミナーも、経営について話してくれっていう要望がすごく増えています。で、彼らは経営を学んで何をしたいかといったら、お金持ちになりたいとかそういうことじゃないんです。スタッフのために何ができるのかを真剣に考えているんですよ。