新ジャンル!? アクアリウム美容師が登場!「趣味を究めたら美容の道とつながった」―CANAAN森田昌範さん
理想の空間を追い求める過程は、美容を極める過程にも似ていた
水槽の中に理想の空間をつくり上げていく過程も、アクアリウムの楽しみの1つです。
それはまさに終わりのない作業。
例えばこういうサンゴが欲しいと思っても、自然の物なのですぐにイメージ通りのものが見つかるとは限りません。何年もかけて探すことも珍しくないんです。それに理想のイメージって、ときどきで変わったりするじゃないですか。しかも正解があるわけでもない。いつまでたっても「完成した!」と思えないんです。
「完成しないこと」が僕にとっての、アクアリウムの最大の魅力。簡単に終わりが見えていたら、きっと早々に飽きてしまっていたと思います。
美容師になって、技術を学んでいて、「あ、これって美容師の仕事に似ているな」と一番感じたのもそことでした。
1つできるようになったら、もっと上手くなりたくなるし、もっと深く知りたくなる。どの技術も「これが正解」というのがあるわけではないから、ずっと正解を求め続けて技術を高めていかなければならないですよね。そういうところも似ているような気がします。
頭の中のイメージを実際につくりあげていくという作業にも、通じるものがあります。僕はメンズヘアが好きなのですが、メンズヘアって造形に近いじゃないですか。サンゴの組み合わせを考え、理想の形をつくっていくのにも似ていて、男性のお客さまの髪をつくるのがとても楽しいんです。
また最近は魚の配色を、ヘアカラーのデザインに応用する試みもしています。人間から見たら不思議に思える魚の色の組み合わせや色の比率。でもそれを美しいと感じるのには、必ず理由があるはずなんですよね。その理由を見つけて、新しいヘアカラーデザインを考えたり、お客さまの髪の毛に応用したり。アクアリウムをやっていると自然の中に、ヘアデザインのヒントがたくさんあることに気づかされています。
アクアリウムは仕事に関係のない、個人的な趣味。そのつもりだったけれど、もしかしたら美容師としての僕にいろいろな部分で影響を与えているのかもしれません。
こうやって話していたら、なんだかそんな気がしてきました。
- プロフィール
-
CANAAN
トップスタイリスト/森田昌範(もりた まさのり)
1985年生まれ。茨城県出身。早稲田美容専門学校卒業後、MINXを経て『CANAAN』にオープニングスタッフとして参加。メンズスタイルに定評があり、現在メンズ客が9割。
(取材・文/福田真木子)
- 1 2