5つの映画が教えてくれる美容師・理容師という職業の魅力
華やかな世界で生きる男性トップスタイリストの生き様を描く
「シャンプー」
(1975年アメリカ作品/ハル・アシュビー監督/ウォーレン・ビーティ、ジュリー・クリスティ)
ビバリーヒルズの有名ヘアサロンには有閑マダムやハリウッド女優が出入りしている。リッチな顧客たちから絶大な支持を得ているのが、若くてイケメンでマッチョでブロウの技術にも定評があるサロンの看板ヘアドレッサー、ジョージ(ウォーレン・ベイティ)だ。彼の仕事はお得意さまたちの髪をセットし、ついでにベッドにも同行すること!? ジョージのキャラ設定は後に映画製作者としてヒットを連打する実在の元美容師、ジョン・ピータースを基にしているとか。勿論、これは美容界を舞台にした皮肉なファンタジー。どんな誘惑にも負けず、目的に向かって邁進する美容師本来の在り方を、逆説的に描いたテキストとしてチェックする価値はあるかも。
(DVDは1410円+税/発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
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理髪師の親子がヘアドレッサー選手権で優勝を目指す人間ドラマ
「シャンプー台のむこうに」
(2001年イギリス作品/パディ・ブレスナック監督/アラン・リックマン、ジョシュ・ハートネット)
「嵐が丘」の舞台として知られるイギリス、ヨークシャーの田舎町にある理髪店。かつて全英一の理容師として注目されるも、今は落ちぶれた父ウィル(アラン・リックマン)。そんな父と同じ職業に就き、死体相手にカットの腕を磨く息子のブライアン(ジョシュ・ハートネット)が、地元開催のヘアドレッサー選手権にエントリーして親子共々再生を目論む。選手権制覇を目指してロンドンからやってきたライバルたちはバカにするが、ウィルの理髪店はいかにも“町の床屋さん”的風情が漂うレトロなお店。日本の田舎町や下町にもあるこの種の理髪店は、どこか懐かしくてついつい入ってみたくなるもの。店が醸し出す情緒も理髪店や美容室には大事な要素だ。
女性のライフスタイルを変えた伝説の美容師の言葉に感銘
「ヴィダル・サスーン」
(2010年アメリカ作品/クレイグ・ティパー監督)
今更説明する必要もない美容界の革命児・ヴィダル・サスーンのセンセーションを、本人と所縁の人々のコメントで構成する美容ドキュメントは、ドライヤーでセットし、スプレーで固める従来のヘアセット手法を否定した、伝説の“ウォッシュ&ゴー”(洗ったまま何もせず出かけられる)がいかにヘアだけでなく、女性のライフスタイルを変えたかという事実を再検証する。中でも、サスーン自身が語る「ヘアカットはお客さまの髪をチョキチョキ切ることじゃない。その人の骨格を知り、どの角度から見ても盲点がないカットを徹底すること」という言葉は、ヘアカットがいかに立体を扱う作業かを再認識させるもの。それは伝説の美容家の言葉だけに説得力がある。
(DVDは4200円+税/発売元:アップリンク、販売元:KADOKAWA)
いかがでしたか? 各作品のテーマや内容は異なりますが、どの作品でも“美容師・理容師がお客さまの生活に影響を与えている”という点は描かれています。この仕事ほど、お客さまと深い関係を築けるものはないのかもしれませんね。今回紹介した作品を観てみることで、美容師・理容師という仕事の素晴らしさを改めて考えてみてはいかがでしょうか?
(文/清藤 秀人)
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