人一倍、努力を続ける天才〜「EGO sette」豊田笑子さんの仕事の流儀
お客さまに惚れ込んでもらえる美容師になりたい!
美容師は、お客さまに自分の仕事を見てもらい、惚れさせなければなりません。惚れてもらうための基盤になるのは「接客術」と「技術力」です。
美容師がやってはいけない最低限のことは、「あってはならないことを起こさないこと」「やってはいけないことをやらないこと」。そうしてマイナスの接客を一つもしないことは意外とむずかしいものです。私の場合はそこに、「誰にも負けない技術力」をプラスし、最低限、お客さまへ提供するもののレベルを引き上げて設定しています。そこに何か要素をプラスアルファして、自分が設定した最低限のレベルを超えたとき、お客さまに感動していただけるのだと思います。
たとえば「お客さまとお話した内容はすべて覚えている」とか、自分自身のファッションスタイルも、プラスアルファする要素の一つです。「女性が同性を惚れさせるには、宝塚のスタイルだ。お前はショートにして、ビビットなカラーの服をきて凛としたイメージでいけ」と吉田に言われてから、ピンヒールを履いた今のスタイルを貫いています。これからもお客さまにいかに感動を与えられるか考え、日々、努力し続けていきたいと思っています。
♦♦♦応援メッセージ♦♦♦
アシスタント時代は、「美容が好き」か「人が好き」かのどちらかがないと続かないので、より自分の好きなことに意識的に取り組んでいくといいと思います。日々の小さなことにやりがいを見つけるのも大事なことです。
仕事を覚えるうえで重要なのは、先輩や師匠の動きを「見る」こと。「見る」とは、見たことを次は自分一人でもできるくらいにしっかり見るということ。そうでないと本当の意味で、見たことになりません。
なんでもスマートフォンで検索すればすぐにわかってしまう時代のなか、若い人たちは「疑問を持ち、自分で考えて答えを導き出す力」がなくなってきているように感じます。次に何が起きるのか予測する力、お客さまの仕草や表情から何を感じているのか、何をしてほしいと思っているかを想像する力も、「よく見ること」で育っていきます。
美容師は接客の仕事です。人に興味をもって、それを相手に示すことは基本中の基本。接客業を志すなら、講演会などでも、ちゃんと講師の目を見てうなずくなどの反応をしながら話を聞くのが当たり前なのに、講演会をしてもそうした学生は意外に少ないものです。「オン、オフの切り替えが大事」ともよく耳にしますが、プライベートな時間で何気なくやっていることや、感じたことも仕事に現れてしまいます。「本物」になりたいなら、オン、オフ関係なく、常に目の前のことに意識的に取り組んでいくことが必要だと思います。
- プロフィール
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「EGO sette」スタイリスト
豊田笑子(とよた えみこ)
福岡県出身。大村ファッション専門学校美容科卒業。「EGOsette」入社後、わずか10ヵ月でスタイリストデビュー。「オズモール」にて3年連続でスタイリスト人気ランキング、トップ10入りを果たす。「オズモールアワード2019」指名数部門第3位。ライフスタイルに合った再現性の高いカット技術に定評がある。