人一倍、努力を続ける天才〜「EGO sette」豊田笑子さんの仕事の流儀

師匠に二度同じことを言わせない! 豊田流、技術習得方法

 

 

豊田 入社後、朝は6〜7時にサロンに入り、誰もいないときに練習を積みました。そして10ヵ月でスタイリストとしてデビューしました。

 

吉田(特別出演!) 通常ならスタイリストデビューまでに3年以上かかります。でも彼女は限られた時間を最大限、自分自身の成長のために費やして、たった10ヵ月でデビューしたんです。アシスタントのときの技術指導では、1回目にできないことも、2回目に必ずできるようになっていました。飲み込みがよくセンスがあるとわかっていたのですが、それは見えないところで人の何倍も努力していた成果です。会ったときに直感的に、「この子は売れるな」と思いましたが、それが当たりましたね。

 

豊田 私は、「自分で決めたことはやり抜くこと」「目上の人を立てること」に関しては、きっちりした性格です。出身が九州の田舎町で、家長を立てる縦社会の習慣が根付いているからかもしれません。師匠に余計な手間をかけないことは、教わる側の最低限の礼儀だと思っています。師匠から一度教わったことは、二回目に完璧にできていなければならない、「師匠に同じことを言わせたくない」という一心でがんばり、技術を習得しました。

 

私は、人に努力している姿を見られるのがイヤなんです。他のスタッフが出社するころには、コーヒーをいれて、余裕をもって「おはようございます!」とあいさつしたい。専門学校に通っていたときも毎日始発電車で朝一番に学校に行って練習することを自分に課し、それを3年間続けました。

 

吉田 豊田を見ていると、「天才」とは努力できる人のことを言うのだな、と感じるんです。私もスタイリストとして、お客さまへの接客、提供する技術のクオリティを守りたいから、一番できる人間をアシスタントにつけたい。それで入社2、3ヵ月で豊田をアシスタントにつけました。スタイリストデビューも異例の早さだったこともあり、先輩など、周囲からの当たりは強かったと思います。

 

豊田 そうですね……。でも周囲に流されることなく、結果を出すことが一番大事だと思ってがんばりました。日々、お客さまや師匠に尽くし、自分の仕事を全うすることに集中した結果、他のスタッフからも認めてもらうことができ、苦難を乗り越えることができました。

 

お客さまの人柄・ライフスタイルが把握できる「オリジナル・カルテ」

 

 

「一度聞いたことは、二度聞かない」というのは師匠に対してだけではなく、お客さまに対しても同じことです。美容師はたくさんのお客さまと接していますが、お客さまからすれば、担当美容師はたった一人です。一度お聞きしたことは、自分のなかにきっちりインプットしておくのは、接客業では当たり前のことだと思っています。

 

たくさんいらっしゃるお客さまの情報を忘れないようにするために、サロンのカルテ以外に、自分だけの「オリジナル・カルテ」をつくっています。お話したこと、見たこと、そのとき感じたことなど、お客さまから発せられた情報をこと細かに書き記しています。たとえばスニーカーに土が付いていれば、お子さんと遊んだときについたのかな、とか、腕にゴムをつけているなら、家事に忙しく髪をよく結ぶ方なのかな、など、その方がどんな生活をされているのかが見えてくるように。

 

それを続けていると、初対面の方でも、その人がどんな人なのかを瞬時に見分けることができるようになります。それは、はじめてご来店いただいたお客さまにスタイルをご提案するときにも役立っています。

 

>美容師という仕事にほこりを感じた瞬間

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