3年後に独立の道も!? 時枝弘明さんが語る「stair:case」のスペシャリスト教育改革
今年の2月、銀座に誕生した新サロン『stair:case(ステアケース)』。パーマの第一人者として業界を牽引してきた時枝弘明(ときえだひろあき)さんと、ヘアカラーのスペシャリストである中村太輔(なかむらだいすけ)さんという意外なタッグに興味を惹かれた美容師さんも多いかもしれません。特に注目すべきはパーマとヘアカラーのスペシャリスト教育と、早期独立を約束するサロンシステム。早く、深く、美容師力を鍛える新サロンの教育理念を、時枝さんにうかがいます。
技術のさらなる進化と深化。そして、伝承していくこと
—今年2月にスタートしたばかりの『stair:case』。どのような思いでスタートされたのでしょうか。
『stair:case』は長年パーマを追求してきた僕と、ヘアカラーのスペシャリストである中村太輔くんの2人で立ち上げたサロンです。僕らはお互い40代。上の世代には元気のよい方々がたくさんいらっしゃるし、下の世代もスター美容師として活躍している人たちがいて、僕らは自分たちのことを谷間世代と呼んでいます。でもそんな僕らにもまだまだやれることがあるのでは、という気持ちがあり、ご縁とお互いのタイミングも重なって2人でサロンをオープンすることになりました。
—サロンのコンセプトは?
「技術の進化と深化」、そして「伝承」という2つを軸にサロンづくりをしていきます。僕はパーマを、中村くんはヘアカラーを。僕らは2人とも愚直と言ってもよいほどに技術を突き詰めてきた職人肌の美容師です。今の時代、なんでもできるオールマイティな美容師が求められることが多いですが、今後「この技術だけは誰にも負けない」というような、スペシャリストである美容師が求められる時代がくると感じています。
自分のお客さまが歳を重ねていくときに、必要とされ、人生に寄り添ってほしいと思われるには、やはり技術の深さは必要不可欠。『stair:case』では僕らの技術を伝承し、各々の技術を深めさせ、スペシャリストと呼ぶに値する美容師を育てていきます。
技術教育は現場主義。見て触って、感じなければ深まらない
—技術教育に力を入れたサロンづくりをされていくのですね。
僕らが現場に立って、技術を伝えていくつもりです。やはりサロンワークの中で見せることが、一番の教育ですから。いわゆるライブですよね。ビフォアからアフターまで見て、触って、何かを感じてもらうことで、自分自身でもっと学びたいという欲を刺激したいという思いもあります。パーマもカラーも素材に対してのアプローチになりますから、触らないとわからないことがたくさんあります。それを感じられるのが、このサロンの強みになってくると思います。
—カラーリスト制を取られる予定ですか?
その予定です。カラーのスペシャリスト、パーマのスペシャリストを育てていくのが当面の目標です。カラーリストには中村くんのようにクリエイティブなこともでき、白髪染めも高いレベルでできる、マニュアル化されていないスペシャリストの集団になってもらいたい。
パーマを究めるスタイリストたちには、僕の技術を通してまずパーマで髪は傷まないということを感覚的に覚えてもらい、パーマを好きになってもらうことが第一段階。そのうえでカラーリングとの共存を考えながら、どんな髪もパーマでやわらかい質感を実現できる技術を身につけていってほしいと思っています。
もちろん将来的には両方の技術を究めたいという、ハイブリットな美容師も出てくるかもしれません。職人肌の新たなスターがここから誕生してくれたらと願っています。
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