「子どもを産んでも美容師を続けたい」ママさん支援を行なう「ROUGE」に迫る
「 子どもを産んでも働きたい」。そう考えるママ美容師は少なくありません。けれど、実際には家庭と仕事の両立は難しく、美容師を辞めざるを得ないという場合も多いのが現状です。
そんななか、ママ美容師が働きやすいサロンとして注目を集めているのが、「ROUGE」です。このサロンでは、「スタッフは家族だから」と語る取締役の岩木淳(いわきじゅん)さんが中心となって、ママたちが働きやすい職場環境づくりを整備してきました。
産休は? 育休は? そして、そのあとの働き方は? いつかはママになりたい女性美容師も、そんな女性スタッフを抱えるオーナーさんも必見のインタビューです。
産休・育休中であってもスタッフには給与手当を支給しています
-岩木さんは、もともとヘアメイクアップアーティストとしてご活躍されていたとのことですが、なぜ美容室の経営に携わるようになったのですか?
実はもともとはヘアメイクアップアーティストではなく、洋服のデザインの仕事をしていたんです。もう40年以上も前になるのですが、スタイリストとして雑誌の撮影に行ったときに、外国人モデルのメイクをする人がいなくて、私がメイクをしたのがきっかけでメイクの仕事を勉強するようになりました。その雑誌の撮影で、夫でありROUGEのオーナーでもある青木と知り合って結婚。結婚を機にROUGEの取締役として美容室の運営や経営に関わることとなりました。
-ROUGEは、岩木さんが中心となって、産休中・育休中や復帰後のママ美容師たちが働きやすい環境づくりをされているとお伺いしましたが、具体的にはどんな対策を取っているのでしょうか?
うちのサロンでは3年ほど前から社会保険・厚生年金に加入しているので、産休中や育休中であっても、それぞれの手当を受けることができます。さらに、独自のシステムとして、産休・育休中のスタイリストが安心して復帰できるように、産休・育休中の給与手当も出しています。通常、指名の場合は売り上げの8%、非指名の場合は5%が歩合となって基本料に上乗せされるのですが、スタイリストが産休・育休中にお客さまがいらした場合、休暇中のスタイリストに3%、実際に施術をしたスタイリストに5%の歩合をつけているんです。
こうすることで、社会保険にプラスαの給与を受け取ることができますし、なにより、休職中にお客さまがほかのサロンに移ってしまうという不安がなくなるため、より安心して復帰できるようになっているんです。もちろん、お客さまのカルテに詳細がしっかりつけてあるので、復帰後もスムーズに接客できます。
-「産休・育休中にお客さまが他のサロンに行ってしまっていたら…」と思ったら、安心して休んでいられないので、このシステムはとてもうれしいですね。
そうですよね。また復帰してからは、「保育園にお迎えにいきたいから平日は16時に上がりたい」「日曜日には家族と過ごしたい」などの時間の融通がきくようにしています。また、原則としては、保育園に預けたり、ご実家で面倒を見てもらったりするのですが、子どもが病気で保育園に連れて行けないだとか、どうしてもご家族の都合がつかないなどの事情があった場合には、事務所で子どもの面倒を見ることもありますよ。
どうしてもスタイリスト本人が休まなくては行けない場合には、お客さまの了解を取った上で、ほかのスタイリストが代理で施術をすることもあります。どうしてもそのサロンが忙しい場合でも、サロンがすべて近くにあるので、他のサロンからスタイリストを派遣したりするなどで対応できるんです。もちろん、ママ美容師でなくても、病気で休まなくてはならないときもあるので、その場合も同様です。
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