ヘルニアや手荒れ、腱鞘炎で労災は降りる? 美容師が労災保険で知っておくべきこと
病気や怪我に見舞われたらどうすればいい? 労災手続き6つの基本ステップ
労災認定にはさまざまなケースがあることがわかりました。では実際に労災認定される可能性の高い怪我や病気に見舞われたとき、どのように行動すればいいのでしょうか。基本的な流れや注意点を榊さんにまとめていただきました。
STEP1.労災指定病院を探す
「怪我などをしたときに労災指定病院以外を受診すると、一度自分で100%立て替え、後日、労働基準監督署(以下、労基署)に申請して払い戻されます。一方で労災指定病院の場合は、保証金を請求される場合もありますが、原則として自己負担はありません。そのため、可能であれば労災指定病院に行きましょう。労災指定病院は、厚生労働省のサイトの『労災保険指定医療機関検索』から検索することができます。
ただし、緊急性を要する場合などに、労災指定病院以外を受診することもあると思います。一時的に100%負担を求められ、もし資金操りが厳しい場合などは、親や事業主などからお金を借りられないか検討するといいと思います」(榊さん)
※保証金:仮で支払う費用のこと。労災の場合、病院で支払い労災認定後に返金されます。
STEP2.病院にかかる際には、保険証を提出せず「労災扱いでお願いします」と言う
「労災が認められるかわからない場合でも、このように言ってOKです。万が一認められなかった場合は社会保険に切り替わり、後日3割負担分を支払うことになります」(榊さん)
STEP3.労災給付の申請書を作成し、かかった病院へ提出する
「労災給付の申請書はオーナーの署名や押印が求められるなど、事業主のサポートが必要な場面もありますが、基本的には本人が作成し、病院へ提出します。制度の整った美容室であれば、美容室の顧問社労士が本人の代わりにやってくれるケースが多いです。顧問社労士がおらず、オーナーも労災保険に詳しくない場合は、自力で進めざるを得ませんが、不明点などがあれば、事業所を管轄する労働基準監督署の労災保険の窓口に電話や訪問をして相談をすることができます。」(榊さん)
STEP4.自分が加入している民間の傷害保険を確認
「民間の傷害保険で給付が受けられるものがないか確認しましょう。給付が受けられるものがあれば、労災保険の給付以外にも、保険金を受け取れます」(榊さん)
STEP5.加害者への損害賠償は別途検討する
「労災保険の休業補償は、特別支給金を含めて元の賃金の80%です。誰かに殴られた、通勤途中で交通事故にあったなど、事業主や第3者に故意・過失がある場合は、加害者への損害賠償を別途検討してください」(榊さん)
※特別支給金:労災保険の給付に加えて支給されるお金のこと。
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