ヘルニアや手荒れ、腱鞘炎で労災は降りる? 美容師が労災保険で知っておくべきこと

【労災の基本知識】労災で受けられる補償は、治療費だけじゃない!

 

 

榊さんによると、「美容師さんの中には、『労災保険』という制度を知らなかったばかりに、本来補償を受けることができたにも関わらず、損をしてしまっている人がいるかもしれません」とのこと。労災は、文字通り「労働者」であるみなさんのためにある保険です。まずは美容室で働くスタッフが最初に押さえておきたい労災の基礎知識を榊さんに聞きました。

 

――「労災保険」ってそもそもなんのためにあるのでしょうか?

 

「労災保険」とは、業務中や通勤中に起きた怪我や事故に対して、その人に必要な保険給付を行う制度のこと。「労災で補償を受ける」となると、治療費を思い浮かべるかもしれませんが、実はケースに応じてさまざまな補償があります。

 

 

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労災と認められた場合に受けられる補償

 

1. 療養(補償)給付:病気や怪我の治療費

2. 休業(補償)給付:病気や怪我で出勤できない場合の所得補償

※怪我や病気の治療をはじめてから1年6か月以上経つ場合は、傷病(補償)年金になる

3. 障害(補償)給付:病気や怪我により障害が残った場合の補償

※障害の重さにより、年金または前払一時金が支給される

4.遺族(補償)年金:家族を残して死亡した場合の補償

5.葬祭料(葬祭給付):遺族の有無に関わらず死亡した場合の補償

6.介護(補償)給付:介護が必要な状態になったときの補償

 

 

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――アルバイトやフリーランスの人も労災で補償を受けられるのでしょうか?

 

労災で補償を受けるためには、「労働者であること」が条件ですので、美容室に雇われている人であれば、アシスタントやアルバイトも受けられます。フリーランスの場合は、雇用されていないので、労災に加入することはできません。そのため、個人で保険などに入って備えておく必要があります。

 

 

腱鞘炎、腰痛、手荒れなど。美容師の職業病は、労災認定されにくい?

 

――労災認定される条件を教えてください。

 

労災認定には、「業務」または「通勤」に起因する病気や怪我であることが条件です。

 

――美容師の職業病と言われる症状は、労災認定されますか?

 

腱鞘炎や、腰痛、手荒れなどの症状は、日常生活の中でも起こりうることなので、「業務」との関連性を証明しづらく、労災と認定されにくいです。例えば、子どものいる人の場合、腰痛の症状が、仕事が原因なのか子育てをしていることが原因なのかをはっきりさせることが難しいですよね。

 

――どんなケースであれば、労災認定されるのでしょうか?

 

逆に、「業務」と怪我や病気の因果関係を証明できれば、労災は認定されやすいです。「サロンで重い荷物を運んでいたらぎっくり腰になった」「新たに導入したシャンプーやパーマ剤を使ったら、それまでは大丈夫だったのに突然ひどい手荒れが起こった」という場合は、労災認定されやすいと言えます。

 

>労災認定されるケース、されないケースをチェック!

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