設立5年でリタイアゼロ! 上司は叱る必要はない。新人はアウェーで戦っているのだから―Lond石田吉信さん

 

都内を中心に展開する「Lond(ロンド)」。2013年の設立以来、店舗数はアイラッシュサロンを含めて10店舗、従業員数は80名を越えるという急成長を続けています。そんな中、これまで辞めたスタッフはなんとゼロ! 

 

Londでは、スタッフを教育する際に「5W1H」や「PDCA」といったビジネスのフレームワークを取り入れた「伝え方」を実践しているそう。辞めない組織づくりの秘訣はこの伝え方にあるのかもしれません。今回は6人の共同経営者のひとり、代表取締役の石田吉信(いしだよしのぶ)さんに、組織が成長するために上司がすべき「伝え方」についてうかがいました。

 


 

ビジネスのフレームワークで「叱らない」指導が可能に

 

 

―Londでは伝え方にビジネスのフレームワーク「5W1H※1」を取り入れているとうかがいました。

 

僕らが実践していることは、目新しいことではなくビジネスの世界では当たり前のことです。例えば、何か問題やミスがあったとき感情的に叱ることがあると思います。しかし、怒って伝えたことは“怒られた”ということしか伝わらず、肝心な「相手に直してほしいこと」は伝わらないのです。

 

具体的に言うと、僕の場合は「褒める場合はみんなの前で、叱るときは1人のときに」を実践しています。5W1Hに置き換えると、いつ(When)、どこで(Where)、なにを(What)の部分ですね。どのように(How)であれば、「ことを叱って人を叱るな」を実践しています。周りに人がいる状況で叱ることや、ミスしてしまった「こと」ではなく「人」自身を否定してしまうと、相手が追い詰められる原因になりますから。

 

どんな伝え方がベストかは、人や状況によってケースバイケース。そのため、細かな指導をしているわけではありません。上に立つ立場のスタッフには、「今、ここで自分が言うべきなのか」と、立ち止まって考える習慣を徹底的に教えています。

 

例えば、感情的に怒鳴ることを5W1Hに置き換えると「すぐに、その場で、先輩が、部下を、ムカついたから、叱った」という状態。5W1Hを意識すると、それでは伝わらないって言うのを冷静に認識できますよね。そうやって振り返る習慣が大切なんです。

 

※1 5W1H:あらゆる事柄において「いつ(When)・どこで(Where)・だれが(Who)・なにを(What)・なぜ(Why)・どのように(How)」を明らかにする考え方。

 

―では、自分が選択した伝え方が間違っていた場合はどうするのでしょうか?

 

僕も完璧な人間じゃないので、間違った伝え方をしてしまうこともあります。そういうときは後から謝ることもありましたね。それは、自分の中でPDCAサイクル※2を回していくという考えに基づいてのこと。自分の行動を分析し、改善していくことを続けていくんです。

※2 PDCA:さまざまな業務において「計画(Plan)→実(Do)→評価(Check)→改善(Act)」のサイクルを循環させ、よりよい結果を導く手法。

 

PDCAとは、簡単に言うと「口すっぱく伝え続けること」だと僕は思っています。アシスタントのときに「何回同じこと言わせるの」と言われたことがありますが、僕は何回聞かれてもいいし、何回言ってもいい。伝わらないなら、なぜ伝わらないのかを分析し、いろいろなアプローチで何回でも言います。

 

 

例えばLondでは、CSR活動※3を推進していて、その一環で店舗周辺のゴミ拾いをしています。こういう活動はすぐに効果がでるわけではないので、スタッフにメリットが見えにくく、意図を伝え、納得してもらうのがとても難しい。全店会議で「明日からゴミ拾いします!」と伝え、誰か1人でも「え〜めんどくさい」と言うと、その気持ちが伝染してしまうんです。

 

そこで活動をはじめる前に、スタッフ全員とマンツーマンというアプローチで話しをしました。さらに、ゴミ拾いは各店に分かれて行うので、各店の旗振り役であるスタッフに対しては、特にCSRの重要性を繰り返し説きました。CSR活動の意義から中長期的な目標までを理解してもらった上でなら、進んで賛同してくれます。

※3 CSR活動:企業が利益だけを追求するのではなく、社会的責任を持ち、社会に貢献する活動。ボランティアや寄付活動などが典型的なCSR活動。

 

「伝わらなければ、伝わるまで何回でもアプローチを変えて伝え続けること」。僕自身、これも何回もスタッフに口すっぱく伝えてきているので、現在はこの考え方がサロン全体に浸透してきていると思います。

 

>問題が起きたときにある「行動責任」と「結果責任」

 

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