後輩のぶっ飛んだ行動や発言に思わず「モヤッ」と。現役美容師が語る先輩の苦労列伝
思わず「はぁ?」と言ってしまいたくなる後輩の一言「カリスマが言ってたんで!」(32歳/男性)
うちの店では「いらっしゃいませの声の大きさ」や「お客さまの顔を見て挨拶する」などのルールが決まっています。あるとき後輩に、そのルールを教えていたら「接客は高級飲食店に行って学んだほうが勉強になるからオリジナルでがんばります!」と言われてしまいました。
「なにそれ?」と聞いてみると、「SNSで、『接客は高級料理店で学んだほうが自分のためになる』と、カリスマが言っていたんです!」とのこと。もちろんそれも一理あるとは思いますが、基礎のルールも学んでほしいので「基礎を知った上で自分でアレンジしてみて」と言って指導しました。
最初は「はあ…」という感じで納得していない様子の後輩でしたが、美容室には美容室にしかない接客もあると徐々にわかってくれたようで、教えたことはやってくれるようになりました。
みんな自分に自信があって夢を持って入ってくるので、自分の意見を言うことは悪いことではないと思います。特に今はSNSがすごい力を持っている時代ですし、そういう発信者もたくさんいます。この後輩も、癖はあるけどガッツがあって、やる気もある悪い子ではないので、今後もしっかり伝えていこうと思っています。
知らず知らずのうちに後輩はプレッシャーを感じてる? 「自分のことは自分でやって!」と発表した新人(30歳/女性)
うちのお店では、月末ミーティングの最後にスタッフ一人ひとりが気になることを発表する時間があります。そのとき、1年目の新人が「自分たちはスタイリストの床はき、カラースタンバイ、シャンプーをやっているが、数が多いので見きれない。床はきとカラースタンバイはスタイリストが自分でやってくれれば、その分自分たちはシャンプーに集中できるんですけど」と言いました。
とっさにアシスタントリーダーが「床はきやカラースタンバイをやりながら店を回すタイミングを勉強するんだよ。店を見通せるようになる練習でもあるの。自分がスタイリストになったときにお客さまを多数同時に抱えてみればよくわかるよ。同時に多くのお客さまを担当できるようになるために、今必要な仕事なんだよ」と一言。
その後輩はすごく不満そうな顔をしていましたが、月日が経つごとにだんだん慣れたようで、やることはやるようにはなっていきました。
仕事に慣れている先輩からするともっともなことでも、入ったばかりで覚えることが多く、いっぱいいっぱいになっている新人にはすべてがプレッシャーなんだなと思いました。自分もシャンプーを後輩に押し付けてバックルームでタバコを吸っている先輩には「自分でやればもっと仕事が回るのに!」と思っていたので、相手の立場も考えることが大切なのかなと思います。その場では「えっ!?」って思うようなことでも当事者はまったく違うプレッシャーを受けていることもあるんだと考えるようになった出来事です。
<まとめ>
謎の自信からくる行動や、やる気の空回りなど、新人ならではのエピソードがたくさん飛び出した今回のアンケート。振り回される先輩のみなさんはとっても大変そうです。ただ、中には「新人には新人なりの考えがありきちんと説明すれば伝わった」なんてエピソードも多く、最初はどんなに「なんだこいつー!」と思うようなことをしたり、言ってしまったりする新人でも、きちんとコミュニケーションを重ねていけば、わかりあえることも多いのかもしれませんね。世の中の先輩美容師のみなさん! 苦労も多いとは思いますが、これからもがんばりましょう!
(文/リクエストQJナビDAILY編集部・イラスト/イッヌ)