ii+U代表長谷川壮のコトダマ「指名売上100万円もいってないのにアシスタントを使っているってことでよろしいでしょうか?」ストイックなイケメン社長を育てた言葉たち
「そんなところでくすぶっているやつじゃないだろう」
親友の言葉で心を燃やす
僕は2年遅れで美容専門学校に入ったので、お兄ちゃんキャラとして扱われていました。そんななか、年齢は2個下だけど平気で「お前」呼ばわりする友達が一人だけいたんですよね。めちゃくちゃ野心家で優秀なヤツだったので、卒業後は有名サロンに入りました。
一方の僕は、オーナーと僕の2人で営業する、隣にお米屋さんやお団子屋さんが並ぶ商店街にある小さなサロンに就職。そこで、一人ひとりに対してていねいな接客を頑張っていたものの、有名店で働く自信がなかったんですよね。
アシスタント3年目のある日、その同級生と食事に行くことになりました。彼は有名店で10店舗を回るアシスタントリーダーを務め、カリスマ美容師たちと働いていました。その話を聞くと、自分との差を感じてモヤモヤしてしまい、楽しいはずの食事も気が重かった。美容師としての在り方について口論になってしまい、「お前はそんなところでくすぶってるやつじゃないだろう!」と店内に響く声で言われたんです。僕にとってそれが衝撃で……。「自分のことをそんな風に思ってくれていたのか」と知り、嬉しさと恥ずかしさが入り混じった気持ちになりました。「変わりたい」と本気で思うようになったのはその時からです。彼の後押しもあって同じ有名店に飛び込みました。あの言葉がなかったら、今の自分はありません。
先輩の「とにかくかわいくしたらいいんだよ」の一言で覚醒
有名店に入って間もないころの僕はストレスにやられて、胃に穴が開き、帯状疱疹まで出るような状態でした。カリキュラムやマニュアルに、全くついていけない。電話対応の基礎すら教わらない地域密着型の小さなサロンでのんびりと働いていた僕には、有名店の厳しいルールやスピードが地獄でしかなかったんです。何をやっても中途半端で、特にヘアアレンジが苦手で。何度やっても上手くいきませんでした。
そんな僕を見かねて、女性の先輩は時間を割いて丁寧に教えてくれたんですけれど、一向に僕は上達しなかったんですよね。ある日先輩は「もしかして、ソウちゃんは理論タイプじゃなくて感覚タイプなんじゃない? かわいいと思ったことをやればいいんだよ!」とアドバイスをくれたんです。
それまで、マニュアルは守るものという固定観念に縛られていましたが、その考えを一度取っ払って、「かわいいと思うこと」を軸にして取り組んだら、不思議とすべてがうまく回り始めたんです。なぜかヘアアレンジだけでなく、電話対応や接客も自然とスムーズになり、お客さまにも喜んでいただけるようになったんですよ。
それ以降、後輩育成にも興味がわき、現在では外部講師として活動するまでになりましたが、何かに行き詰まったときには、あの先輩の「とにかくかわいくしたらいいんだよ」という言葉を思い出します。
>指名売上100万円もいってないのにアシスタントを使っているってことでよろしいでしょうか?