準備8割、実行2割!天狗になるな頭を下げろ! 関東屈指の人気美容師を育てた言葉 REDEAL中村雄樹(はんぺん)のコトダマ
母校の恩師の言葉「月明りを見て楽しむとか、そういう時間が大事なんじゃないの?」
独立当初、自分の売上を伸ばしながら、経営もしていましたし、夜は人とも会っていたので、自分をいたわる時間が全くありませんでした。食事にお誘いいただいたら勉強したいという想いで全部参加していたんですよ。睡眠時間は2、3時間。かなり、気が張りつめていたんでしょうね。自律神経に異常をきたして、しっかり倒れてしまいました。
ただ、僕はメンタルが強いので、すぐに立ち直るための行動に移しました。日光を浴びたり、たくさん寝たり、自然の中に身をゆだねたり。回復してきたころに、母校の専門学校の先生に会う機会がありました。僕が過労で倒れた一部始終をお話すると「月明りを見て楽しむとか、そういう時間が大事なんじゃないの?」と言われたんです。
忙しくしていたら、月明りや木漏れ日の美しさにも気づけないじゃないですか。仕事して、SNSして、バタバタしていると周りが見えなくなってしまうもの。渋谷に新店舗を出してからも半年間ずっと走っているので、意識的にドライブして、景色を眺めたりしています。
ただ、若いうちに倒れて良かったという思いもあります。年を取ってから倒れると復活まで時間がかかるし、重症化しやすいと思うからです。おかげさまで今はピンピンですし、倒れないためにどうしたらいいかもわかるので、長い人生で考えたらプラスの経験になりました。
スタッフからの嬉しい評価「常に進化しているけど、偉そうじゃない」
スタッフに僕がどんな人間か聞いたことがあります。「常に進化しているけれど、偉そうじゃない」とか「撮影のときは緊張感を出すけれど、それ以外は友だちのようにラフに接してくれる」とか答えてくれました。これは自分にとって嬉しい言葉だったんですよね。サロンを運営する上では、フラットにコミュニケーションをとれる関係性がすごく大事だからです。
昔は、飲み会のときに売れるための話とか、仕事に対する熱い話とか何時間も話していました。もちろん、そういう話も大事なんだけれど、一人ひとり聞きたいタイミングがちがうと思うんですよ。熱い話は、スタッフが求めているときに話せばいい。
むしろ、自分が話すことよりも、スタッフの言葉を大事にしていきたいと思っています。自分の髪型や服装のことも下の子に聞いているんですよ。ちなみに、昨日、新卒の子に今日の取材用の服装を見てもらって「いいですよ」と言ってもらえたから、自信を持って着てきました(笑)。一人の力には限界があります。みんなでREDEALを成長させていきたいです。
- プロフィール
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REDEAL/代表
中村雄樹
埼玉県出身。埼玉県理容美容専門学校卒業。2015年に都内有名店に入社。美容師歴2年で業界最速のカラーのみで指名売上220万円を達成。インスタグラムでの集客力を武器に躍進。業界最年少でのセミナー講師、書籍制作担当、業界誌への多数掲載などを経て、2020年25歳にして大宮で「REDEAL」を立ち上げる。開業1年未満で髪書房にて初の著書『タイムパフォーマンスを上げる 6人同時エアタッチ』を出版。独自の集客マニュアルとエアタッチオペレーション構築によりコロナ禍でのスタッフの育成にも成功。2023年3店舗目となるREDEAL渋谷をオープン。ABEX最年少出場、カミカリスマ認定、1000万プレイヤー輩出、カラー剤プロデュースなど華々しい実績を残す一方、サロン経営者としても注目を集めている。
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)