自分にとって辛い言葉も記録して忘れないように ―AFLOAT のプロデューサー間嶋崇裕を作り上げたコトダマ
立場が変わっても生き続けるコトダマ「“思う”だけじゃなくて行動しろ、結果だけがすべて」
宮村って、まったく怒ったりしないんですよ。それが僕は歯がゆくて、1年目の終わりに「怒ってください」ってお願いしたんです。そうしたら、「全部言うとダメージが大きすぎるだろうから、2割だけ言うよ」って(笑)。
でも、普通に話しているときはやっぱり僕に対する苦言みたいなことはあんまり出てこなくて、出てくるとしたら朝方までずーっと飲んでいて、もうふたりともベロベロになったタイミングなんです。僕は酔っ払っていても絶対に言われたことを忘れたくなかったので、必死にスマホにメモしていて、それを今でも『みやむーメモ』として読み返しています。
「宮村のアシスタントだから気を遣われているだけ。勘違いしてはいけない」「しっかり仕事をして、終わったら楽しく飲め」「“思う”だけじゃなくて行動しろ、その結果だけがすべて」……たくさんの言葉をもらったので、ひとつに絞るのは難しいですが、アシスタント時代、スタイリストになってから、そして自分自身が経営者になった今、同じ言葉でも違う表情を持って語りかけてくれるものがいくつかあるんです。そのうちのひとつが「“思う”だけじゃなくて行動しろ、その結果だけがすべて」です。
「結果だけがすべて」って、思っていても経営者ってあんまり言わないじゃないですか。でも確かにそのとおりで、何か新しいことにチャレンジしたら、とにかく最初は荒波に飲まれます。それで諦めてしまったら失敗で終わることになりますが、成功するまで続けることによって失敗ではなくなるし、結果を出せば認めてくれる人は必ず現れる。
1スタイリストとしての自分自身のことだったら自分だけの頑張りでなんとか成功まで持っていけるかもしれませんが、店の代表や経営者として組織を動かすのはより大変です。たしかに、チャレンジの過程は、仲間内では認めてもらえるかもしれませんが、第三者にとっては結果だけがすべて。宮村は先達の経営者としてそのことを教えてくれてくれました。
普通は厳しいことを言われたら辛いし、「早く忘れてしまいたい」と思うかもしれません。でも、僕自身が道を切り開いて来られたのは、自分にとって都合のよくない言葉だとしても、酔っぱらいながらも必死でメモしてきたお陰なのかもしれません。どんなにいい言葉でも忘れてしまったら意味がないのですもんね。このメモのコトダマは、僕がどんな立場になっても、その表情を変えて、ずっと響き続けてくれています。
- プロフィール
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(株)HRK代表 /株式会社エターナル業務執行役員
AFLOATプロデューサー
間嶋 崇裕(ましまたかひろ)
1992年生まれ、香川県出身。高校時代にネイリスト(JNA1級)を取得。高校卒業後にヘアメイクを目指して上京し、東京モード学園専門学校に入学。在学中にAFLOAT代表の宮村浩気と出会い、美容師へと進路を変更。AFLOATに入社し、デビュー後1年5ヵ月でグループ全体売上と新規集客1位を獲得。その約半年後、プロデューサーに就任。2022年9月、自身のサロン『AMA TOKYO』をオープン。母校では実技やSNSの授業も担当。現在のフォロワー14.6万人。
(文/須川奈津江 撮影/松林真幸)