お前はそれでも美容師か?カラーの匠の心に火をつけた言葉 Vardy中澤卓也のコトダマ
オーナーからの一撃「結果が出なかったらそれは遊びと同じ」
僕はいろんな美容室のオープニングを渡り歩いてきたので、店舗の立ち上げを何度も経験しています。一度、オーナーに出資だけしてもらい「雇われ代表」をしたことも。そのときの初月売上は赤字でした。理由はオープン前に、売上がある子が事故で入院し、1人欠けた状態で営業していたからです。
正直に言って、オーナーにも大目に見てもらえるかもと思っていたんですが、「結果が出なかったらそれは遊びと同じだから」と断言されたんですよね。言われた瞬間は「もっと長いスパンで見てくれよ」と思いました。けれど、その言葉が結構刺さった。たしかに、結果が出ていなかったら自己満と同じだなと。
自分がやりたい店をやっていても、それが上手くいかずにオーナーがダメージを受けているとしたら、全然カッコよくない。やっぱり、やりたいことをやるなら、結果を出してこそ。結果が出ないなら、ただのわがままであり、自己満なんです。
あきらめ気味のスタッフ「このお店はしょうがないですもんね」
オーナーとスタッフに挟まれる立場も何度も経験しています。サロンの代表とはいえ、雇われの状態だと、お金を出しているわけじゃないから、自分ひとりで決められることに限界がある。スタッフはサロンを良くするために「この薬剤を使いませんか」とかいろんな提案をしてくれるわけです。でも、オーナーが発色よりも原価率の低さを重視していたとしたら、簡単には替えられない。
なので、サロンの事情を話してスタッフの子たちに納得してもらうことも多かったです。そうすると次第にスタッフの子たちも「ウチのお店ではできないからしょうがないですもんね」と言うようになってくる。その言葉が、僕の心に重くのしかかっていたんです。「しょうがない」なんて下の子に言わせるサロンにしたくなかったなと。
結局、コロナのときにそのサロンは閉めることになりました。サロンがなくなって思ったのは、「もう1回、本気でやってみよう。『しょうがない』と言わせない店をつくろう」ということ。そこから、カラー剤なども全部自分で納得いくまで揃えて、徹底的に研究をするように。
カラーの腕を磨いて、前のお店を閉めたときから3年後に、Vardyを立ち上げました。Vardyはスタッフのみんなに「しょうがない」と思わせないサロンです。