レジェンド美容師の愛弟子&ショートのカリスマが胸に刻んだ言葉 unplugged紺野善仙のコトダマ
レジェンドからもらった宝物の言葉「その人だけの日本一になれ」
カリスマ美容師の代表格、綾小路竹千代さんのアシスタントをしていたころ、人生の目標となる言葉と出会いました。「その人だけの日本一になれ」という言葉です。
僕は北海道の十勝から札幌の専門学校に進学し、上京して東京の有名店に入りました。それは、「やるからには高みを目指したい、日本一を目指したい」と思っていたからです。
一口に日本一と言っても、売上が日本一、雑誌掲載数が1位、とさまざまな日本一があります。当時の僕は、自分がどの日本一を目指したいのかわかりませんでした。
そのような中で、綾小路さんの「その人だけの日本一」という言葉を聞き、僕が生涯をかけてやり続けたい仕事はこれだと確信したんです。
綾小路さんはお客さまにとっての日本一の美容師を体現している人でした。田舎で綾小路さんの噂を聞いて切りにきたお客さまが、カウンセリング中に感動して泣いていたこともありました。
そのお客さまは難しい髪質でいつも美容室に行くとストレートパーマや髪質改善の提案をされていたそうです。それに対して綾小路さんは、その難しい髪質を生かす髪型を提案しました。そのお客さまの髪の悩みが、魅力的な個性に変わった。まさに、お客さまのためになる提案だと思いました。
綾小路さんが、お客さまのために「切らない」という選択をした場面も見ました。普段ロングにしているお客さまが、突然「ショートにしたい」と言ったとき、綾小路さんは30分くらいかけて切らないように説得していたんですよ。お客さまが一時的な気の迷いで、ショートにしようとしていることを見抜いていたのだと思います。
そのお客さまは再来店されたとき「切らなくてよかった」と言っていました。綾小路さんは昨年亡くなられたのですが、お別れ会でそのお客さまが泣いていた姿も印象的で、本当にそのお客さまにとって日本一の美容師だったのだと思いましたね。僕もお客さまにとっての日本一の美容師を目指していきたいです。
- プロフィール
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UNPLUGGED(アンプラグド)
代表/紺野 善仙(こんの よしのり)
北海道出身。北海道理容美容専門学校卒業後、上京。都内有名サロンで10年間勤務したのち、2019年に仲間と共に『UNPLUGGED』をオープン。ショートカットの技術は同業者からも一目置かれる存在で、業界ではショートヘア・スペシャリストの一人。
INSTAGRAM:nori190
(文/外山武史 撮影/菊池麻美)
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