東京の美容シーンに「名を刻む男」の人生のギアを上げsand入社後4年でアシスタントから経営者に上り詰めた男の珠玉の言葉 ENi/sand 中至紋のコトダマ
第一線で活躍する美容師の人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」。今回は、sandで個人月間売上1300万、店販売上650万を記録するなど、業界からも注目される大活躍の後、満を持して自身のブランドサロン「ENi」を立ち上げる中至紋(なかしもん)さんです。神戸から上京してsandに中途入社し、瞬く間に名をあげた倍速美容師でもある中さんが、どんな言葉に鼓舞されて生きてきたのか聞きました。人生のギアを上げたい美容師さん必見のコトダマです。
至上の(この上ないと思える)場所での紋(しるし)となれますように
僕の名前は中至紋と言います。珍しい名前なので「どういう意味?」と聞かれることが結構ありました。
正直に言うと、子供のころは名前のせいで日本人じゃないと思われたり、からかわれたりすることもありました。そんなことを気にするタイプではないものの、自分の名前が好きなわけではありませんでした。
20歳くらいのときに一度、母に自分の名前にどんな意味が込められているのかと尋ねたんです。そのことが自分にとって大きなターニングポイントになりました。
至紋の至は、至上や至福などの言葉からわかるように「この上ない」という意味で使われることがあります。紋は家紋など、印を意味する言葉です。つまり母は、「この上ないと思えるくらいの場所で最幸の印となれるように」と願ってこの名前をつけてくれたのだそうです。
その話を聞いたとき、自分の名前の重みをあらためて感じました。僕の名前には、親の想いが込められている。僕のこれまでの人生は、その想いの通りにたどってきているなと実感しています。名前の意味を知ってから、ものすごく誇りに思えるようになりました。人生で1番多く耳にするのが自分の名前です。「親からの初めてのプレゼントである名前」というものへの想いの深さを知りました。
今は、自分の名前がプラスになることしかありません。お客さまにも覚えてもらいやすいし、「いい名前ですね!」と褒めてもらえることも多い。自分の名前が誇らしいと心から思っています。
常に心の体力を100%持ち続けなさい
自分のブランドサロンをオープンするにあたり、これまでお世話になった多くの先輩に相談しました。その中のひとりに、僕が神戸で美容師をしていた時代にお世話になった人がいます。
この先輩はとにかく僕が頑張っていることを認めてくれ、ライバルだと言ってくれる人です。僕ががむしゃらに走り続けている様子を見て「常に心の体力は100%持ち続けなさい」と言ってくれました。「努力しているのはわかるけれど、心配になる」と。
僕は朝から夜までずっと仕事の事を考えてしまうタイプです。休みの日も人に話を聞きに行ったり、研修に行って学んだり、仕事に全ての時間を費やすスタンスでやってきました。その様子を見て、先輩は僕以上に僕の事を考えてくれて、体調面に不安を感じたのかもしれません。僕としては、ただただ夢中で走り続けていただけなんですけれど。
心と体が100%の状態だからこそ成果はついてくるし、人に与えることができる。逆に心の状態がよくないと、人間関係が崩れたり、視野が狭くなり、何か悪いことが起こってくる。言葉の意味を考えたとき、ハッと我に返りました。
夢中で頑張るのはいいけれど、常に自分の状態を確認し、周りを見渡し、休む時はしっかり休む。自分の心と体をご機嫌にすることを強く意識するようになりました。