ダメ出しから始まった美容人生! VeLO/vetica、LECOで浴びた叱咤激励 LECO 小林賢司のコトダマ
厳しい先輩の「この世界、愛嬌だけじゃ生きていけないよ」
自分で言うのもなんですが、僕は結構明るい性格なので、お客さま受けが割といいんですよ。接客も好きで、仕事はそつなくこなしていたと思います。
正直言って、立派な美容師に囲まれていた環境だったので、自分もここでそつなく毎日を過ごせば、立派な美容師になれるんじゃないかと勘違いしていたんですよね。
でも、その頃アシスタントについていた先輩はそんな当時の自分の甘さを見抜いて、「この世界、愛嬌だけじゃ生きていけないよ」と言ってくれたんです。その言葉がグサっと心に刺さり、正気に戻りました。
そして、めちゃくちゃ悲しくなりましたね。怖い先輩でしたけれど、自分を一番成長させてくれた存在でもあります。甘えを払拭してくれたことに感謝です。
撮影に大寝坊して言われた「お前を嫌いになりたくない」
これも前職の『VeLO/vetica』の先輩の言葉です。高木貴雄さんは技術はもちろん人当たりもよくお客さまをいっぱい抱えている、僕が目指す美容師の一人でした。僕のことも可愛がってくれて「コバケンはいい美容師になりそうだね」みたいなことをよく言ってくれていたんです。
撮影にも連れていってもらっていました。とある撮影で高木さんのアシスタントをすることになったとき、僕が衣装を用意してスタジオに持っていく段取りになっていました。夜中まで夢中になって準備していたんですが、これがよくなかった。完全に寝坊して、撮影に間に合わなかったんです。
衣装が入ったバッグをサロンに置いていればまだなんとかなったのに、僕は家に持って帰っていたんですよ。猛ダッシュしたけど、現場についたころには、もう撮影は終了してモデルさんがシャンプーしていました。とんでもないやらかしじゃないですか。
「すみません!」と当然謝ったんですけれど高木さんは「もういいよ」と。モデルさんが帰ったあと、もう一回謝ればいいのに、自分のしたミスの大きさにビビってしまって、もう怖すぎて、謝れなかったんですよね。
あろうことか僕、「今日の衣装、どんな感じになりました?」と聞いたんです。断っておくと、高木さんは滅多に怒らない人です。そんな高木さんから「お前のことを嫌いになりたくないから、これ以上寝坊しないでくれ」と肩パンしながら言われました。
お前のことを嫌いになりたくないということは、可愛がってくれているっていう意味じゃないですか。それを裏切ってしまったことが悔しくて、泣きましたね。それ以来、絶対人を裏切るようなことはしないと決めました。
>内田聡一郎からの一撃「俺だったら、お前みたいな美容師は嫌だわ」