キャバ嬢時代に言われた「あの一言」がなかったら今の私はいなかった Men’s hair NoN 恵比寿 石井 沙季のコトダマ

 

第一線で活躍する美容師の人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」。今回は、「メンズヘア界の女神」と称されるMen’s hair NoN 恵比寿代表、石井 沙季(いしいさき)さんです。キャバクラ勤務を経て美容業界に復帰した異色の経歴の持ち主である石井さんが、どのような言葉に動かされているのか教えていただきました。

 


 

超体育会系師匠の言葉「やるしかないんだよ」

 

 

独立前にお世話になったサロンの師匠は、仕事に対して一切の妥協がない厳しい人でした。表参道の有名店代表のメインアシスタントとして厳しい環境で修行を重ねてきた人で、スタンスは超体育会系。最初の頃は、叱られなかった日はなかったし、営業中に怒鳴られることも珍しくありませんでした。

 

叱られるときは毎回ボロクソに言われていたんですが、最後に必ずフォローとして「やるしかないんだよ」と言ってくれたんですよね。その言葉は、今も私の心に刻まれています。

 

実際、人生で起こるすべての事は「やるしかない」じゃないですか。練習だってSNSだって、とにかくやるしかない。頭の中で考えているだけじゃ、なんにも成長しません。やるのとやらないのとじゃ天と地の差がある。やるしかないわけです。

 

 

サロンを立ち上げてからは、スタッフを育てる立場になりました。スタッフ教育でもやっぱり「やるしかない」って伝えています。お客さまに対しての気遣いや、粗相をしないこと、礼儀正しくすることは絶対だけど、臆せずにどんどんやれることを増やしてほしい。「やるしかない」と言って、営業中も、練習中もスタッフの背中を押し続けています。

 

メンズ特化の原点「お前にはもう切る資格がない」

 

 

初めてメンズカットしたとき、2時間くらいかかったんですよ。頭の中で展開図を書くのはいいけど、どこをどう引き出して切ればいいのかわかっていないから、慎重になりすぎたんですよね。

 

お客さまの終電がなくなる寸前で終わったんですけれど、カットを見た先輩に酷評されたんです。「お客さまに申し訳ない。お前にはもう切る資格がない」と。お見送りのとき、お客さまに「またお願いします」と言ったんですが、苦笑いされました。

 

さすがに落ち込んだんですが、むしろその言葉で「絶対にかっこいいメンズカットができるようになりたい」と火がついたんですよね。女性でメンズに特化している美容師が少ないことにも気づき、SNSで積極的に発信するようにしたんです。

 

 

正直な話、私はどうしても美容師になりたかったわけではありません。友達に誘われて美容学校に入ったし、そもそも美容師になりたいというより、人の役に立ちたくてこの仕事を選びました。だから、美容師として成功したい気持ちはあったけれど、スタイルにこだわりはなくてメンズに特化すれば有名になれるんじゃないかぐらいの気持ちだったんです。だから、先輩に酷評されたあの悔しさと奮起があったから、今の私がいるんです。

 

>2023年の書き初め「有言実行」「猪突猛進」

 

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