エザキヨシタカ率いるgricoの歴史を塗り替える男 寺尾フミヤの力を120%引き出すコトダマ
第一線で活躍する美容師の人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」シリーズ。今回はgrico HARAJUKUの副店長、寺尾フミヤさんが影響を受けた言葉を探りました。
技術力はもちろん高い人間性を求められるデビュー基準を持つgricoで歴代最速デビューし、現在は史上最年少で副店長を務めている寺尾さん。彼を動かしている熱いコトダマに迫りました。
「お前は人に恵まれているから」
コトダマと聞いて最初に思いついたのは「お前は人に恵まれているから」という父の言葉です。実家が島根県の田舎にあることもあり、周りはみんな顔見知りでした。ご近所さんみんなで育ててくれたような感覚があります。年上のお兄さんが近所にたくさんいて、僕をかわいがってくれたんですよ。父をその様子を見て「恵まれている」と言ったのだと思います。
中学や高校で人間関係に悩むのはよくある話だと思いますが、ありがたいことに僕は大きなトラブルに遭ったことがないです。むしろ周りの人たちにめちゃくちゃ助けられて、今に至ります。エザキさんと出会い、gricoで素敵な仲間やお客さまに囲まれて働いていることも、まさに人に恵まれているからですよね。
専門学校は大阪の関西美容専門学校だったので、島根から出て初めて一人暮らしをしたのですが、アルバイト先で、大阪の父親のような存在の人にも出会えました。東京に出てきてからはエザキさんという、それこそ僕の人生の指針になるような人と出会えた。未来のことはわからないけれど、多分きっとこの先も、素敵な出会いが増えていくんだろうなと信じているんです。
gricoに出会えたことも僕の中では奇跡。美容学生時代、エザキさんのTwitterでの発言や、「スタッフではなく家族として一生一緒に働くことができる環境をつくる」というインタビュー記事を見て、「この人の元で働きたい」と心底思ったんです。
「美容師は幸せをつくる仕事」という人はいるけれど、お客さまとスタッフのことを思って、本気で実践している人は、そんなに多くはないと思います。エザキさんが僕らを「家族」と表現するのも、本心からだと思う。
エザキさんはgricoを立ち上げる前に、裏切りにあってサロンをつくる話が一度なくなった経験があるそうです。僕には、そういう経験がないというか、いつも誰かに大事に守られてきました。だから、身の回りの人への感謝を忘れてはいけないし、大切にしていきたいんです。
僕が人に恵まれている理由があるとしたら、いつどんなときも相手のことを本気で考えて、120%でぶつかっていくからかもしれない。お客さまに対してはもちろん、後輩に対してもそうだし、もちろん、このインタビューも同じです。本気で向き合えば、それは相手に必ず伝わる。僕はそう信じています。