はじめての新人教育だって怖くない! 人気5サロンの美容師に聞く、「先輩の心得」
後輩指導だって最初からうまくできる人なんていない|先輩歴5年目otope楽人さんの先輩の心得
後輩への指導で心がけていることは?
「近すぎず遠すぎず。楽しいけれど馴れ合いにならないコミュニケーションを」
僕はもともと後輩に限らず、人に注意するなどは得意ではなく、普段から起こったことがほとんどありません。中性的で厳しいオーラが出ていない雰囲気なこともあり、舐められやすいタイプだと自覚がありました。だから、後輩と接するときは舐められないようにある程度の距離をとるよう気をつけています。
楽しい職場を目指していますが、ただの馴れ合いではなく、フレンドリーかつ尊敬し合える距離感が大切。例えば先輩の指示やレッスンでの指導を聞くことは、表面上でもできると思います。しかし、そこに「尊敬」がないと意味がありません。「尊敬」のない組織は、後輩にとってもよくないし、チームワークも崩れてしまうと思います。なので、サロンの中でも外でも近過ぎず遠過ぎず、ほどよい距離感を意識しています。
ただ、はじめて後輩ができたとき、距離感をしっかりとったつもりが、よそよそしくなってしまったり、怖がられてしまったり、よくわからない人だと思われて仕事の相談をしてもらえなかったりと、「あまり後輩思いの先輩ではないのかな?」と思われているかもしれないと感じたことがあります。距離感については、今でも模索中です。
過去に後輩への指導で失敗したと思うことは?
「言わないと決めていても、思わず言ってしまった一言…」
僕は、「自分のときはこうだった。もっと辛かった」という話を先輩から何度も聞かされていました。僕自身は、素直に受け入れていましたが、こういった昔の体育会系のノリと伝統は言わないように心がけていました。
ですが、言い訳や甘いことを言っている後輩を目の前にすると、ついつい「自分のときは〜」という言葉を使ってしまうことも。こういった押し付ける言葉は、後輩との間に溝をつくります。そうではなく、理解して指導していることが伝わる言葉選びを大切にしたいと思います。
後輩への指導で難しいと感じる部分は?
「価値観は人それぞれ。否定ではなく説明を」
一人ひとり美容師に対する価値観やスタンス、理想がぜんぜん違うことです。
だから、それぞれが大切にしていることを聞き出してあげること、わかってあげること、そして間違っていると思っても否定ではなく一度自分の中で整理して説明することが大事だと思います。
例えば、otopeはお店にきたことがある人が入社することが多いため、世界観を理解した上で入る人が多いです。しかし、実際に働いてみると、サロンワークではナチュラルなお客さまもいて、クリエイティブばかりできるわけではありません。クリエイティブに気持ちがいき過ぎていると、普段のサロンワークとの乖離が生まれることがあります。
そういうときは、後輩の「世界観を体現したい」「クリエイティブをやりたい」という気持ちを肯定して生かしつつも、大前提としてお客さまありきの美容師であること、お客さまの希望をかなえる美容師という仕事の意味を伝え、彼らの「幅」を広げていくようにしています。
自分もまだまだ上手くできいないですが、注意する前に、一回冷静になるようにしています。
後輩への指導を通して、自分自身が成長できたと思うところは?
「後輩への指導がすべて自分の勉強にもなる!」
技術を教えていれば復習になるし、新人として教わっていたときには気がつかなかったことに新たに気がつくことも多く、後輩と接することすべてが勉強になると思います。
後輩の心境を考えて理解しようとすることで、お客さまのことももっと深く考えるようになり、「考えること」が自然にできるようになりました。
また、若いアシスタントのほうがお客さま目線になれることも多く、今でも後輩から学ぶことがたくさんあります。
はじめて後輩を迎える美容師へのアドバイス
「最初から上手く指導できるわけじゃない」
はじめは自分のことで手いっぱい。最初から、後輩のことを考え、寄り添って指導できる人は少ないと思います。でも、後輩への指導が自分の勉強でもあると考え、疎かにせずにちゃんと向き合ってあげることが大事だと思います。
<プロフィール>
otope
スタイリスト/楽人(らくと)
1993年生まれ。埼玉出身。専門学校卒業後、FLOWERSに入社し、2015年にotopeのオープニングスタッフとして参加。デザインカラー、デザインカットを得意とする。2020年4月より、otope代表・浦さんとLECO代表・内田さんが共同で立ち上げる新ブランドへ移籍予定。
Instagram:@raaakun7
>U-REALM谷美由希さんの自身の経験から生まれた先輩の心得とは?