緊急注意報! “ブラック美容室”を回避せよ
過重労働や違法行為などで世間を騒がす“ブラック企業”。度を超した長時間労働や厳しすぎるノルマ、社員の使い捨て、パワハラ、セクハラ、過労死……今や大きな社会問題にもなっています。サロンで働くみなさんの身の回りにも「そんなのあり?」なできごと、潜んでいませんか?
そこで今回は“ブラック美容室”との遭遇を未然に回避する方法のお話。回答してくれるのは、年間1,000人以上の転職者を送り出している美容師専門の転職支援サービス“リクエストQJエージェント”のスタッフです。
美容業界3大ブラック美容室あるある
まずはブラック美容室の特徴について。美容業界ならではのブラック要素。
その中でもっとも多いのが“お金”。次いで“お休み”、“人間関係”と続きます。もちろん個々の事象はどれもがありそうなこと。だけど、それが続いたり重なったりすると、心も体も疲弊してしまうもの。だからみなさん、こんなブラック要素が複数あったら危険信号ですよ!
1、お金にまつわるブラック美容室
やっぱり一番多く耳にするのは“お金”に関すること。生活に直結する問題なので、遭ってしまうと辛いことに・・・過去にはこんなサロンが!
・スタイリストの歩合が不明瞭(オーナーの気分次第なことも)。
・定時になると勝手にタイムカードを押されて、仕事は続いても残業代が支給されない。
・講習も受けてないのに、なぞの講習費・教育費・材料費など、お給料から結構な金額を引かれる。
・求人広告に明記されてる平均給与や最高給与。だけどそこからは想像もつかないような低給与。
・社会保険料が引かれているけど、実際は加入していない。
・どう計算しても最低賃金(時給)を下回っている。
2、お休みにまつわるブラック美容室
お昼がなかなか食べられない。お休みが少ない。練習などで拘束時間が長い。なんてことも美容業界ではよくあること。自分の成長には必要かもしれませんが、行き過ぎると体も心も元気をなくしてしまいます。こんな“お休みブラック美容室”も避けたいところ!
・お休みの日に、講習会・勉強会・モデハンなどを強制される。
・公休日は必ずミーティング。
・お休みの日にも予約を入れられて休めない。
・お休みだからと練習に行かないと「やる気がない」と厳しく怒られる。
・身内の結婚式など大事な用事でも絶対に休ませてもらえない。
・有給休暇がない。あっても「触れてはいけない」が暗黙のルール。
3、人間関係にまつわるブラック美容室
精神的にはこれが一番きつい。人間関係にまつわるブラック! 他と比較ができないから「自分だけがつらいの?」と悩んだり、「誰に相談したらいいの?」と戸惑うこともしばしば・・・。悩みすぎて心の病に・・・なんてことがないように、まずいと思ったら全力回避を!
・練習会のはずなのにアシスタントだけを残して指導する先輩は帰ってしまう。居ても指導がテキトー。
・オーナーや店長がお気に入りのスタッフだけをかわいがって、仕事の振り方が明らかに違う。
・機嫌が悪いと先輩が暴力を振るう。
・お昼の買出しに行かされるが、明らかに足りない額しかもらえず、足が出ると自腹。
他にもあったブラック美容室番外編
他にもいろいろ出てきたブラック美容室“番外編”。日常に関わることも多いので、ストレスフルにならないように気をつけたいですね。
・配属先が募集要項と違う。
・次の人が入るまで退職させてくれない。
・遅刻をすると1日中チラシ配りの罰。
・常に監視されていて、水を飲む以外休めない。
・3LDKの寮に5~6人で住まわされる。
転職エージェントが教える「こんなサロンは危ない」
いろいろなブラック美容室があるけれど、そこには共通する特徴が。さまざまなサロンをみてきた転職エージェントからみた危険サロンの兆候とは・・・。
転職エージェントからみた危険サロンの特徴
・お給料の形態がころころ変わる
個人歩合だったのにお店全体での歩合になったり、歩合の割合が年に何度も変わったりなど、お給料が不安定なサロンはもちろん危険です。
・オーナーが独りよがりな精神論しか言わない・怒りっぽい
精神論を強要して長時間労働など、スタッフを酷使しようとする傾向があります。
・雇用契約書、労働条件通知書を発行しない
働くスタッフに対しては、給与や休暇について詳しく記されている書類を発行しなければなりません。危険なのは「ウチは発行しない」というサロン。たとえ発行していても不利な条件は明示しない、または内容が実態と違うという“確信犯的な”ブラック美容室も。
ブラック美容室を面接や見学で見分けるには?
せっかく転職が決まったのに、そこがブラック美容室だったという事態は避けたいですよね。そこで面接・見学時にブラック美容室を見抜くにはどんなポイントがあるのか、転職エージェントに聞いてみました。
面接・見学で見分けるブラック兆候
・面接時、雇用条件を濁してはっきりさせない
「頑張れば頑張った分だけ評価するよ!」なんてコトバにはご用心。「頑張った」かどうかなんて、人によって感じ方はさまざまです。あいまいに終わらせないできちんと具体的な条件や歩合を聞きましょう。
・スタッフさんの元気がない
あいさつしても返ってこない。暗い顔をしている。対応がぞんざい。そこには人間関係の悪さが出ているのかも。
・お店が雑然としている。掃除がいき届いておらず汚い。
忙しすぎて余裕がなかったり、やる気がないのが見え見え。これでは集客にも影響が出ているはずです。
さらに……
面接や電話などでもブラック兆候はわかります。求人広告や面接で言われたことは、雰囲気だけで判断しないで詳細まできちんと聞くことが大切です。中でも雇用条件についてはしっかり書面でもらうようにしましょう。面接でサロンの様子に不安があったら、体験入店でしっかり状況を確認できるといいですね。
また、転職は1人ですると見えないこと・気づかないことも出てきますから、周りの人にアドバイスをもらうこと。もちろん、転職エージェントに相談することも、自分に合ったサロンに就職するコツですよ。
(取材・文/QJナビ編集部)
取材協力
美容師転職支援サービス
リクエストQJエージェント
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