理論派売れっ子スタイリスト・伊輪宣幸さん流「女性アシスタントのトリセツ」
女性アシスタントのトリセツ 5カ条
1、 本人が楽しいと思うことを極めてもらう
伊輪さんはアシスタントとの関係をチームと捉えている。アシスタント1人ひとりの好きや得意を見出し、その分野を任せるスタンス。例えばヘアカラーが好きなアシスタントには、色や薬剤のチョイスも任せられるまでになってもらうことが目標。責任を持つことで「やらされる感」がなくなり、また任されることで自信もつく。
2、 自分流に染めすぎない
自分が育ってきた通りの成長の仕方は望まない。理由は2つ。1つは男女の違いや、個人の特性に合わせて、仕事を楽しみながら成長してもらうため。もう1つは新しい感覚や方法をアシスタント自身に生み出してもらうため。「今までの自分のやり方だけだと自分もチームも成長しない」と伊輪さん。
3、 人と比べず、以前の本人と比べる
注意するときはもちろん、褒めるときも、「誰かと比べて◯◯だ」という発言や見方はしない。誰かと比べられることで生まれる嫉妬心や、自分を卑下する気持ちを防ぐのがねらい。また他人ではなくその子自身の過去の姿と、現在の姿を比較して話すことで、自分自身の成長を感じてもらいやすい。チーム内に女性アシスタントが複数いる場合は、特に気をつかっているそう。
4、 頼りにしていることを感じてもらう
頼られると、人を支えたい気持ちが芽生え、やりがいにつながるのが女性ゴコロ。必要としていることは、言葉や態度で折に触れて伝えるようにする。また自分が必要とされているとリアルに感じられるような仕事内容やシステムづくりも重要。1カ条目の本人が楽しいと思える仕事を任せているのもこのような理由があるため。
5、否定をしない
「怒られるかもしれないと思うと、自由な発想が出てこない」と伊輪さん。テクニックに関しては、間違えていたとしても本人の発想を認めるところから指導をスタート。練習姿勢や態度などについては、教える側が常に気にかけて、折に触れてチャンスを与える。自分の力でモチベーションを上げられるよう見守る姿勢をとることをポリシーにしている。
伊輪さんの「女性アシスタントのトリセツ」のポイントは、仕事の楽しさややりがいをいかに感じてもらうかというところにありそうです。怒る指導をしなくても、本人が自然とがんばりたいと思える環境づくりこそが、先輩スタイリストのやってあげるべきことなのかもしれません。
(取材・文/福田 真木子 写真/河合 信幸)
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