倒産寸前の経営危機から売上・従業員数3倍のV字回復! ZESTグループ副社長が立て直しのためにやったこと
できる子を伸ばし、つまづいてしまった子も見捨てない「耕造塾」
6年前に「耕造塾」という取り組みを始めました。会社の理念や事業の方向性などを知ってもらったり、美容師として人として成長していくためにどんなことが必要なのかみんなで話し合ったりする学びの場です。一方的に伝えることよりも、自分たちで考えることが大事だと思っているので、グループディスカッションやグループワークを軸にしています。
グループディスカッションは一つの答えが出なくてもいいんです。そのテーマについて考えることが大事だと思っています。極端な例ですが、すごくお客さまに支持されていて、先輩にも可愛がられているAさんと、全然売れないし先輩にも可愛がられずに燻っているBさんがいたとします。BさんはAさんと自分を比較して、自分はダメだと思い込んでいる。自分がBさんだったらどうするか…?という感じですね。
成功している例を追いかけるのも大事ですけれど、ダメだと思い込んでいる子を勇気づけて改善することが大事なんです。しかも、一人で悩むのではなく、みんなで考える。いろんな意見が出てくるから、次の行動のヒントが生まれる。まず課題について自分の頭で考えることに意味があるし、考えに考えを重ねて一歩目を踏み出すことが大事なんですよ。
だから、僕たちは悩んでいる子を見捨てないし、悩みそのものがみんなにとって価値あるものにしていきたいと思っています。悩みを解決した経験をみんなで共有したら、よりサロンが強くなるし、楽しく働ける美容師が増えていくからです。
初任給は22万円から! 業界水準を変えていきたい
おかげさまで、今ではZESTグループに入りたいと言う子がたくさん増えましたし、随分と変わってきたなと思います。けれど、時代は移り変わっていくものだから、僕たちも進化していかなくてはなりません。労働条件も変えていきます。昔は新卒で17万円くらいからスタートでしたが、今は22万円からです。そこには、業界水準を変えていきたいという想いも込められています。
とはいえ、自分の好きなことだけやっている人は稼げません。高い給料を設定するのと同時に、自分の技術を磨き、お客さまに発信して、価値あるヘアデザインをすることで、お金をもらうことが大事。そうなるための支援もしています。
カリキュラムの無駄を無くし、本人のやりたい技術、例えばメンズカットやカラーなどを集中的に学べる選択制にすることで、早期スタイリストデビューができるようにしました。今は早い子で2年目、平均して3年目にはデビューしています。自分のやりたいことに特化しつつ、早くからモデルさんにも入れるからモチベーションも高いです。デビュー後は比較的すぐ月売上100万円の壁を突破しています。数字が上がって勘違いするのは良くないですが、自信をつけてもらえたらいいかなと思っています。
経営者の目線で、ZESTブランドを大きく育てる仲間を増やしたい
また、これからフランチャイズの仕組みをつくり全国展開もしていきます。イチ美容師としてやっていくだけではなく、経営者としてZESTのあるべき姿を追いかけていく仲間を増やしていきたいんですよね。誰かが一番ではなく、みんなが主役の『ワンピース』のようなイメージです。
昔は一人の船長と船員しかいなかったけれど、みんなが船長というか同じ立ち位置で舵取りができたらいいなと。それが今の時代にあっているような気がするんですよね。大体今は10年目くらいの子が店長をしているんですが、どんどん入れ替えていきながら店長だった子たちには新しいステージを用意してあげたいです。
独立するのは大変ですが、フランチャイズならZESTブランドで、支援を受けながらスタートできます。何より、みんなの人生の選択肢を一つ増やしてあげられる。スタイリストデビューや店長、ディレクターなどのキャリアのその先にフランチャイズオーナーの道があることで、ZESTで未来の夢を描ける美容師を増やしたいと思います。
- プロフィール
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ZEST副社長
畠山 耕造
美容業界のディーラー、メーカーで経験を積み、父親が経営するZEST入社。東京エリア中心に14店舗ヘアサロンを展開。早期スタイリストデビューを実現する育成・環境づくりに注力し、新人の退職率を10%までに抑える。美容師の人間性を磨く学びの場を『耕造塾』をつくる。近年では、全国各地で人材育成セミナーや経営コンサルタントを手がけている。
(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)
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