倒産寸前の経営危機から売上・従業員数3倍のV字回復! ZESTグループ副社長が立て直しのためにやったこと

 

中野、吉祥寺、三鷹、立川、八王子など都内14店舗展開しているZESTグループ。現在では美容専門学生が働きたいサロンと真っ先に名前が上がるサロンの一つですが、約8年前は経営危機に瀕していました。その立て直しに注力したのが副社長の畠山 耕造(はたけやまこうぞう)さん。売上高約7億円から約18億円までV字回復させた立役者です。今回はそんな畠山さんに、美容師が集まり、イキイキと働くサロンづくりのヒントを聞きました。

 


 

採用ができない上に人が辞めていく…負のループを抜け出した方法

 

 

もともと僕は美容師ではありません。美容メーカーの営業職や新人教育などを担当しており、そこでの仕事も充実していました。修行後は父親の会社であるZESTで働くだろうと思いつつも、すぐに辞めるつもりもなかったんです。ところが、ZESTで深刻な問題が起こっていると聞き、考え直しました。特に東日本大震災後から、独立するスタッフや転職するスタッフ、美容師そのものを辞めてしまうスタッフが一気に増えていたんです。僕は美容師として頑張っている人たちがすごく好きだから、みんなにイキイキと働いてほしいんですよね。そのために、ZESTに入って会社を立て直したいと思いました。

 

僕が入ったその頃、もともと300名くらいいたスタッフが100名を切るか切らないかというくらいでした。当時は今と違って、ZESTに入りたいという子もいなかったんですよ。どうしようもない美容師不足だったので、言葉を選ばずに言うと、誰でも採用しているような時期もありました。それでも人が集まらないし、頑張ってくれていた人たちも辞めていったんです。

 

まずはその原因を探らないと解決しようがないと思ったので、サロンを知ることからスタートしました。そこで、僕はZESTグループの一番大きなサロンで、朝から晩まで1年間、フロント業務をしたんです。退職するスタッフが出てきたときは、絶対に話をするようにしました。すると、「会社の制度が悪い」「人間関係が悪い」「サロンのブランド力がない」とか散々言われるんですね。それを全部メモして、できるところから改善していったんです。

 

サロンを良くするためのヒントは美容師1年生の言葉の中にある

 

 

また、あるときから1年生の子たちと丁寧にコミュニケーションをするようになりました。なぜなら美容師になったばかりで一番ピュアな状態だし、美容業界の常識を良い意味で知らないから。それに、1年生の子たちに良いサロンだと思ってもらえないと、新卒採用もうまくいかないと思ったんです。先輩や店長を挟んで意見を吸い上げようとすると、途中で意見が止まったり、歪曲したりすると思ったので、僕に直接話してもらうようにしました。

 

1年生の声には重要なものがたくさんありました。例えば、「シャンプーひとつとっても先輩によって言うことが違うので混乱する」「会社からやれと言われたことをやろうとすると、先輩にやらなくていいと言われる」など問題が見えてきたんですね。そのため、ZESTの技術を統一してカリキュラムに反映させたり、「俺が責任を取るから、先輩の目を気にしなくていい」と伝えたりしました。

 

 

とにかく、若い子が働きやすいサロンにしないと未来はないと考えました。なぜならその子たちはこれから中心になっていくからです。特に意識していたのは、1年生が「何でだろう?」「何のために必要なんだろう?」と疑問を抱いたまま働く環境を変えていくこと。そういう疑問を全部排除し、理由を説明しました。

 

僕がやってきたことを例えるなら、絡まりまくっていた糸を全部解いて、もう一度丁寧に結び直していく感じですね。絡まりを解いていくことで、1年生をはじめとした若い子たちが、もやもやを感じながら働かなくてよくなることががすごく大事なんです。

 

>できる子を伸ばし、つまづいてしまった子も見捨てない「耕造塾」

 

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