どうしてロンドンなの?GRADUATE代表ATSUTOSHIさんが語る「美容留学」の魅力
サスーンってボブでしょ??
-サスーンアカデミーで学ぶ魅力は何ですか?
サスーンは時代に合わせて進化していて、2005に最高責任者がマーク・ヘイズ氏に変わってからカットのテクニックは全て「abc」、形は「ラウンド、トライアングル、スクエア」で説明するようになったんですね。例えば、前髪は「ディスコネクションのスクエアのA」って言ったり、後ろは「ラウンドのC」とか「トライアングルのC」って表現する。「じゃあ、そこにスクエアのB入れる?」みたいな感じで、3つのテクニックと形で髪型はなんでも作れるんです。日本のサロンで、例えばボックスボブを習うと、それしか切れないんですね。色鉛筆6本を渡されて「自由に書いていいよ」って言われると自由に描けるけど、「この色とこの色とこの色はこの絵しか描けない」と習ったら、表現力を殺しちゃうじゃないですか。頭がわりとフラットな人ならグラデーションで重みを築き上げようか、それはラウンドを使うかスクエアを使うおうかというチョイスをしていく。それが僕はすごく好きです。一度習うとずっと使えるし、応用力がすごく身につきます。
-サスーンアカデミーで学ぶタイミングは、いつがベストだと思いますか?
もし人生をやり直せるなら、僕は高校生のうちからお金を貯めて、専門学校を卒業したらすぐに渡英します。なぜすぐがいいのかと言うと、美容室で働くと癖が付いちゃうからなんです。チョップカットとか中間でカットするとか、いろんな癖があるんですが、サスーンカットを学ぶ上で癖があると吸収がすごく遅くなるんですね。だから、ピュアな状態で行くといいんです。10年働いてサスーンにきていた人もいましたが、先生に指導されても自分の癖に戻っちゃうんですよ。サスーンにも行きたいしドライカットもやりたいなら、まずサスーンで習ってからドライカットを身につけて、組み合わせちゃうとか。僕ならそうしますね。
-サスーン=ボブのイメージが強い人が多いと思うのですが、実際は違うんですか?
ボブだけでなくテクニックと型の組み合わせであらゆるヘアスタイルを作ります。クラシックなボブもしっかりやるけど、去年の夏はぱっつんだけど空間があるとか、いま流行ってる柔らかいボブだったりとか。時代に合わせてサスーンも変化しています。だから僕は何度も学びに行くんです。
カットの切り方が繊細とか、セクションの取り方が綺麗とか、指の使い方やハサミの動き方が綺麗というようなサスーンのテクニックに特徴はあるけど、仕上がりに関して決まった特徴というのはないです。でも、やっぱりボブは世界一ですよ。
イギリスに行くと短気が治る!?
-留学して、技術力以外に自分が成長した部分はありましたか?
短気が治ってきました(笑)。僕は話してると熱くなっちゃって、つい喧嘩みたいな言い方になってしまうんですよ。でも、イギリスでは「カームダウン(落ち着け)」と言われる。生徒が何か失敗しても、先生は落ち着いて何度も言い続けるんです。言ってもできないのは、教えている人の方に問題があるというサスーンの考え方。
日本の美容業界は、下の子ができないのは下の子のせいですよね。でも、実はそれって上のせいなんですよ。上に立つ人自身の教育が足りてない。だから、僕はスタッフの技術に対しては怒らないですね。怒るんじゃなくて「こうだよね、こうだよね」って、言葉で積み木を下ろすように説明します。さすがに5回くらい続くと、「ちょっといい加減にしてもらえる?」ってなるけど(笑)。でも、こんな風になれたのはイギリスのおかげです。だから、うちのサロンは余程のことがない限り、辞めるスタッフが出ない気がします。
(KAITO)僕もイギリスに行って、優しくなった気がします(笑)
-最後に、留学をめざす学生さんにメッセージをお願いします。
少しでもお金は貯めといたほうがいいですよね。やりたいことの選択肢を広げるためにも、お金はあったほうがいいので。あとは、英語の勉強。通訳はいますが、直接会話ができるとやっぱりスムーズです。突き抜けたいなら、人と違う発想ができることも大事かなと思います。いっぱい遊ぶのも大事だし、いっぱい怒られるという経験も無駄にはならない。美容師は愛される謝り方ができることも大事なので、怒られ方を知っていると逆に可愛がられたりもしますよ。
- プロフィール
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GRADUATE
代表/池田 充聴(いけだ あつとし)
国際文化理容美容専門学校 国分寺校卒。都内有名店で1年間のアシスタントを経て、渡英。ヴィダル・サスーンアカデミーの教育を受けた後、ヴィダルサスーンの美容教育コンサルタント・サスーンスクールシップ&サロンシップグローバルコーディネーターの石井曜子先生の力を借りて前途したコンセプトのもとでGRADUATEを任されることに。原宿らしいエッジィなスタイルと鮮やかなカラーリングを得意とするスタイリストとして知られている。
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( 取材・文/織田みゆき 撮影/菊池 麻美)